2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03136
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
樋口 有理可 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 惑星系 / 数値計算 / 彗星 |
Research Abstract |
恒星を取り囲む彗星雲の起源と進化の解明へむけて、微惑星の軌道進化の数値シミュレーションを行なった。彗星雲は微惑星が2段階の力学進化、すなわち(1)惑星散乱による遠日点距離の増大、(2)銀河潮汐力などの外力による近日点距離の増大、を経て形成されたと考えられている。本年度は第1段階の解明を昨年度に引き続き進め、論文にまとめた。また並行して第2段階の軌道計算もはじめた。 第1段階では、初期条件として中心星と1個の円軌道の惑星からなる惑星系を想定した。そこに任意の軌道要素を持つ微惑星を置き、円制限三体問題のモデルの下で微惑星の軌道進化を数値計算した。数値計算結果を元に、微惑星の運命(惑星への衝突・惑星系外への脱出・軌道長半径の増大)の確率の、微惑星軌道要素、惑星の質量・軌道長半径への依存を解明した。またそれらを再現する簡単な解析的表記の導出に成功した。この結果より、太陽系の彗星雲(オールト雲)の形成に最も寄与した惑星は木星であると推測した。また、惑星散乱により彗星雲候補となる微惑星の確率とその軌道長半径の分布を推定することができた。 第2段階では、近日点を惑星領域に、遠日点を中心星から数千AU以遠に持つ微惑星の軌道が銀河潮汐力によりどのように進化するかを用いて調べた。数値計算だけでなく永年摂動論を用いた解析的解釈も取り入れている。今後は数値的、解析的アプローチの両方を用いて、銀河環境と形成される彗星雲との関係の解明を進める。
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