2004 Fiscal Year Annual Research Report
マーシャルプランをめぐるアメリカ国内利害集団と政府
Project/Area Number |
03J04473
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河崎 信樹 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マーシャルプラン / A・ヴァンデンバーグ / J・フルブライト / マーシャルプラン委員会 / トルーマン政権 |
Research Abstract |
本年度は、まずアメリカ議会資料を使用して、マーシャルプランを検討したアメリカ議会における委員会の分析を行った。特に、アメリカの対外政策の立案において大きな役割を果たす議会上院の外交委員会の分析を行った。外交委員会は、共和党のA・ヴァンデンバーグが委員長を務め、トルーマン政権との「超党派外交」の舞台となった。外交委員会での審議において、注目すべきは、J・フルブライト上院議員の提起した、ヨーロッパに政治・経済統合を要求する文言の評価である。これに対して委員長であるヴァンデンバーグは、自らもフルブライトの見解を支持することを表明した上で、ソ連との対抗関係上、アメリカからの「押し付け」となる文言をマーシャルプランに入れることを拒絶した。このことは、議会においてアメリカ国内においてヨーロッパ統合を要求する意見がかなり広範に存在していたこと、ソ連との関係でヨーロッパ統合問題が考えられていたことを示している。 次に、マーシャルプランの実現を、民間において支持したマーシャルプラン委員会についての検討を行った。マーシャルプラン委員会は、外交問題評議会のメンバーを中心に作られた委員会であり、H・スティムソンを全国委員長として活動した。当時は、まだ孤立主義、反共主義への批判、対外援助への嫌悪感といった思考の影響がアメリカ国内に存在していた。この委員会は、そうした思考に対して、テレビ、ラジオ、新聞といったマスメディア、各地の演説会、議会への働きかけ、といった手段によってマーシャルプランの実現に向けて組織的な活動を行った。そして、マーシャルプランは実現し、その実施過程に委員会のメンバーも数多く参加することになった。この委員会の活動の結果・アメリカ国内において国際社会に関わることへのコンセンサスが形成されていく大きな契機が生み出され、活動の中で理解した各種の利害関係をマーシャルプランの実施過程に反映させることが可能となった。
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