2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04753
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 慎一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | シロイヌナズナ / フィトクロム / オーキシン / 長距離シグナル / 突然変異体 / レポーター遺伝子 |
Research Abstract |
研究代表者は計画にも記載したように、オーキシンを介した長距離シグナルによってGUS遺伝子の発現が誘導されるN35系統に対し突然変異処理を行い、突然変異体を選抜してきた。既知変異体と似た表現型を一見示さなかった系統は035,044,086,091,097、155の各系統である。本年度は、これらの系統から解析の可能な系統としてまず097と155系統の生理学的解析を進めることとした。 GUSの活性を定量的に測定したところ、097系統ではどの光条件でもGUSの活性が見られなくなっていた。155系統では、連続白色光下では親株とほぼ同程度のGUS活性であったが、連続暗黒下では、親株であるN35系統の二倍以上のGUS活性を示した。 N35系統と野生型株をこれら変異体の胚軸伸長を比較観察したところ、097および155どちらの突然変異体においても、フックの形成や子葉の展開には特に目立った異常は見られなかったが、胚軸の伸長が異常となり、どちらの系統も胚軸が短くなった。155系統においては胚軸表面の細胞の形態に異常が見られた N35系統においてはオーキシン輸送阻害剤であるNPAによってレポーター遺伝子の発現の光応答が起こらなくなる。155系統をNPA添加下で生育させたあとGUS活性を測定したところ、10^<-5>MのNPAを加えた場合にGUS活性は親株であるN35系統程度にまで低下することが分かった。また、5×10^<-6>M及び10^<-5>Mの濃度において短くなっていた胚軸長が部分的に回復した。 155系統をエコタイプの異なるLerと掛け合わせ、F2世代において155系統様の胚軸形態を示した個体からDNAを抽出し、ラフなマッピングを行った。その結果、155系統の原因遺伝子は1番染色体上に存在すると推測された。097系統についても同様の解析を行い、五番染色体下部に原因遺伝子が存在する可能性が示唆された。
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[Publications] 岡穆宏, 岡田清孝, 篠崎一雄編, 田中慎一郎, 長谷あきら: "植物の環境応答と形態形成のクロストーク"シュプリンガーフェアラーク東京. 230(9) (2004)