2003 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカ半乾燥熱帯圏のミレット農耕と家畜休閑植生土壌の共生的連環
Project/Area Number |
03J05213
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 英寿 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 土壌侵食 / サヘル帯 / フルベ / 農牧混交地域 / パルカージュシステム |
Research Abstract |
西アフリカ内陸半乾燥地では過耕作、過放牧にともなう土壌侵食などが起こっているといわれている。また、侵食が目につかないところでも農耕地の土地生産力の低下が指摘されている。そのため、合理的な資源環境利用法を探る必要がある。 調査地であるTakabangou村はブルキナファソ国北部、サヘル帯に位置し、天水依存農耕(ソンガイ人)と牧畜(フルベ人)が行われる農牧混交地域である。ブルキナファソ北部地域では、無施胞農耕が一般的ではあるが、家畜囲い周辺に家畜糞が散布されること(以下パルカージュシステム)によって、実際には極めて省力的な養分投入が行われている。調査村では、乾季に牧畜民が農耕民の村近傍の耕地にキャンプを設営し、耕地や井戸周辺の河辺林、放牧経路途上の耕地などに牛糞が散布される。 このような農牧混交地域での複数民族間の生業活動を知るために2003年乾季に調査村を訪れた牧畜民の世帯調査をおこなった。牧畜民は自家所有の牛ではなく、農耕民から委託された牛の管理が主となっている世帯もあることが分かった。 調査村での村落レベル・畑レベルでの肥沃度維持システムを知るために、持ち出し(穀実・作物残渣)と投入(牛糞)の収支から土地劣化の程度の把握をおこなった。作柄が不良であったところへキャンプを設営してもらい、自分の畑の意図した場所に牛糞が投入されるようにしていた農耕民の畑で、2003年12月〜2004年3月にパルカージュシステムによって投入された牛糞散布域と牛糞散布密度を計測した。また、畑に投入される牛糞がどこ由来のものであるかを知るために牧畜民が管理している牛軍の行動範囲をGPSにより記録した。 今後、さらに実験室において微生物レベルの研究をおこない環境修復に向けた実践技術の確立に取り組む。
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