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2003 Fiscal Year Annual Research Report

荘園制における「替(かわし)」取引と銭貨流通

Research Project

Project/Area Number 03J05430
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

伊藤 啓介  京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)

Keywords渡来銭 / 替・替銭 / 割符 / 為替 / 中世手形文書 / 貨幣経済
Research Abstract

本年度は、修士論文で扱った中世の為替取引である割符・替銭取引の研究を発展させ、割符取引の決済のしくみを具体的に解明し、替銭取引との関連を明らかにした。これにより、前者・後者ともに、「債権と代価との交換」によって決済されており、前者が後者から発展したことを原理面から明らかにした。
ついで、割符の機能とその信用について研究した。
先行研究では、割符が不特定多数の間で流通していたことから、紙幣的性格をもっていたと指摘されている。その指摘の妥当性については多くの議論があり、未だ決着がついていない。
まず、割符の機能について検討した。割符取引と替銭取引の境界については議論があるが、「替銭」とよばれながら、割符が利用されている史料の検討の結果から、割符には「替銭」取引の際に正しい受取人を表象する役割を果たしていたことが明らかになった。
次に割符の信用について検討した。まず、どのような割符が信用されていたかについて史料を検討すると、支払人に取引実績があるものが信用されること、実績がないものについては、一度ためしに利用してみて、確かに決済されたことを確認してから、本格的に利用している例が確かめられた。
つい実績がない割符の信用が何によって担保されるか、を検討してみた。その際の損失は、送金依頼人に割符を販売するなどした「取次人」に請求していることが判明した。この「取次人」は多くが現地に定住しており、いつでも請求交渉が可能であることがわかった。
これらの結果から、割符の信用は「支払人の実績」と「取次人の支払い能力」によって支えられていることが分かった。この特徴は割符が紙幣というより、手形的な信用・流通構造をもっていたこと示しており、割符が紙幣的性格をもっていた、という先行研究での指摘は、最終的に否定されると考えられる。

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Published: 2005-04-18   Modified: 2016-04-21  

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