2003 Fiscal Year Annual Research Report
有限核におけるαクラスター凝縮状態の、変形、振動、回転を含めた構造の解明
Project/Area Number |
03J05511
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船木 靖郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原子核構造 / αクラスター模型 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 / α凝縮 / ^<12>C |
Research Abstract |
昨年度の成果として、^<12>Cの第二0^+状態は3つのα粒子がボーズ・アインシュタイン凝縮した状態であるということが理論的に明らかになった。今年度はこの事実に基づいて、二番目0^+状態の上に存在する未だその構造のはっきりとは理解されていない幾つかの正パリティ状態について、3αボーズ凝縮体の励起モードとして理解できるか否かの理論的検証を行った。具体的には特に、励起エネルギー10.3MeVに存在する約3MeVのα崩壊幅を持った三番目0^+状態、ごく最近観測されその存在が確定的になった励起エネルギー10MeV程度の二番目2^+状態について、3α凝縮模型波動関数に解析接続法(ACCC>を適用し、そのエネルギー、α崩壊幅の計算を行った。3α分解敷居値の数MeV上に存在するこれら励起状態に対しては束縛状態近似を超えた取り扱いが必要であり、解析接続法は共鳴状態としての正しい取り扱いを可能にする一つの有効な手段である。解析の結果得られた二番目2^+状態はエネルギー、幅共に、実験値と比較して極めてconsistentであった。特にこの状態は、束縛状態近似の範囲内でのクラスター模型計算によってその存在が昔から予言されていたが、そのα崩壊幅の計算値は実験値と大きく食い違っている。二番目2^+状態に対して我々が得た実験とconsistentな結果は、束縛状態近似の限界を示唆すると共に、この状態がα凝縮体の何らかの励起モードとして記述できることを示している。 また三番目0^+状態について、現在のところ我々はその実験値を充分に再現することに成功していない。AMD計算はこの状態が3α直線鎖に近い構造を持つことを示しているが、αガス構造を有する我々のα凝縮模型がこの状態の実験値を充分に再現することが難しいなら、それはこの三番目0^+状態が3α直線鎖構造を持つことの間接的な証明である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Funaki, A.Tohsaki, H.Horiuchi, P.Schuck, G.Rcpke: "Analysis of previous microscopic calculations for the second 0^+ state in ^<12>C in terms of 3-alpha particle Bose-condensed state"Physical Review C (Rapid communications). 67. 051306 (2003)
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[Publications] Y.Funaki, H.Horiuchi, A.Tohsaki, P.Schuck, G.Ropke: "Description of ^8Be as Deformed, Gas-Like Two-Alpha-Particle States"Proceedings of the Second Asia-Pacific Conference on Few-Body Problems in Physics (APFB02), ed.D.Z.Jiang, H.Q.Song and X.Y.Xhu, Modern Physics Letters A, Shanghai (World Scientific, Singapore). Vol18, No.2-6. 170-173 (2003)
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[Publications] Y.Funaki, A.Tohsaki, H.Horiuchi, P.Schuck, G.Ropke: "Analysis of previous microscopic calculations for the second 0^+ state in ^<12>C in terms of 3-alpha particle Bose-condensed state"Proceedings of the 10th International Conference on Nuclear Reaction Mechanisms, ed.E.Gadioli, Varenna, Ricerca Scientificaed Educazione Permanente. Supplement No.122. 83-87 (2003)