2003 Fiscal Year Annual Research Report
草本植物の多様性に及ぼす侵略種の影響からみた都市孤立林の保全に関する研究
Project/Area Number |
03J05675
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧野 亜友美 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 草本植物 / 孤立緑地 / 種数-面積関係 / 入れ子 / ランダム / 京都市 |
Research Abstract |
京都市の孤立緑地ではこれまでに木本植物やシダ植物、鳥、アリといった様々な生物分類群の種多様性とそれに影響を及ぼす環境要因との関係が研究されている。その結果、それぞれの分類群によってその種多様性に影響を及ぼす要因が異なることが明らかにされている。しかし、草本植物の種多様性については十分に明らかにされてはいない。そこで本研究では、草本植物の種数に影響を及ぼす環境要因と孤立緑地間の種の分布様式について検討を行った。 京都市内の15箇所の孤立緑地において、2003年5月から12月の間に各緑地4回ずつ、全域を歩き、出現種を記録した。 出現した全種数は60科366種であった。各孤立緑地に出現した種数(S)と緑地面積(A ha)との関係は、 S=66.62logA+137.94 (R^2=0.78,p<0.01) の回帰式で示された。 緑地面積以外にも孤立緑地までの最小距離の対数、山までの距離の対数、比高の対数、形状指数SF、撹乱強度を環境要因として取り上げ、それぞれについて種数との偏相関係数を計算した。種数と緑地面積の対数の偏相関係数は有意で、強い正の相関があった(r_p=0.85,P<0.01)。しかし、他の要因と有意な相関はなかった。 Nestedness Temperature Calculator (Atmar W.& Patterson B.D. 1995)を用いて出現種が入れ子状態になっているかを調べた。これは、完全に入れ子状態であれば0°、ランダムであれば100°を示す。その結果、京都市の孤立緑地における草本植物種は、ランダムではなく、ある程度入れ子状態であることが分かった(孤立緑地の温度T°observed=26.46、Monte Carloシミュレーション(n=500)によるランダム分布の場合の温度T°random=69.54、SD=1.68、t検定、p<0.001)。
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