2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05895
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 亮 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30375563)
|
Keywords | エルシナン / 水溶性多糖類 / 溶液物性 / 多角度光散乱検出器 / サイズ排除巣路的グラフィー / SEC-MALS / みみず鎖 / ゲル |
Research Abstract |
日本茶葉に寄生する白星病菌Elsinoe Leucospolaが菌体外に生産する多糖「エルシナン」の収率の向上を目的として,菌体の培養条件とエルシナン生産量の関係を調べた.エルシナンの生産量は炭素源と培養温度に著しく依存することが確かめられ,少なくともラボスケールの培養時におけるコストあたりの多糖収率が最大となる条件を決定した.得られた多糖のモル質量とその分布関数をサイズ排除クロマトグラフィーと多角度光散乱検出器を連結したSEC-MALS法で分析したところ,重量平均モル質量が1.2×10^6,重量平均分子量を数平均分子量で除した多分散性指数が1.8という結果が得られた.これらの値は培養条件に依存した.この結果は昨年度に得られた結果を覆すものであるが,培養条件をわずかに変えることによって目的とするモル質量を持つエルシナンが容易に得られることをしめすものであり,この点で大きな進歩がみられた.さらに,エルシナンの大量生産を目的として行なった連続培養システムを作成し,このシステムを用いることにより,培養の任意の時点で目的とするモル質量を持つエルシナンを生産させることにも成功した.モル質量>1×10^4では,水溶液中におけるエルシナンの回転半径および固有粘度のモル質量依存性はこの多糖とほぼ同じ化学構造を持つプルランと誤差範囲内で一致した.しかし,プルランとエルシナンは水への溶解性や濃厚溶液の粘度特性,ゲル化特性が著しく異なることが知られている.そのような性質は,エルシナンの分子間にプルランには存在しないような特殊な相互作用が働いているためと考えられる.
|
Research Products
(7 results)