2003 Fiscal Year Annual Research Report
汚れたボース系におけるボース凝縮と超流動の理論的研究
Project/Area Number |
03J05983
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小林 未知数 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ボース凝縮 / 超流動 / 不純物効果 |
Research Abstract |
1、近年、光格子中の中性アルカリ原子ボース凝縮におけるボース凝縮・モット絶縁体転移が観測された。この系は周期的な光格子という点で汚れたボース系よりもきれいな系であるが、ボース凝縮の抑制効果という点で、汚れたボース系と非常に関連した興味深い問題である。私は汚れたボース系に対して用いていたGross-Pitaevskii方程式の数値シミュレーションをこの系に適用し、以下のことを示すことができた。この系は光格子の強さを大きくすることでボース凝縮が壊されるが、その前段階でボース凝縮が各格子に強く局在するようになり、ボース凝縮の持つ位相という物理量が各格子で異なる値を持つようになる。通常、ボース凝縮は空間で一様な位相を持つため、これはモット絶縁体転移への前駆現象であると考えられる。局在した位相自身は実験では観測されていないが、シミュレーション中での動的振る舞いは実験のものと定性的に似ていることを示すことができた。 2、ごく最近、多孔質ガラス中の液体ヘリウム4に圧力を加えていったところ、絶対零度近傍においてもヘリウム4が液体状態のままで、かつ超流動のみ消失するという現象が報告された。これは汚れたボース系の新しい強相関効果であり、非常に興味深い。私は前回まで弱相関領域で行っていた私の計算を、自己無撞着くりこみという方法を用いて、強相関領域に拡張することに成功し、強相関系におけるボース凝縮の転移温度や転移温度近傍の振る舞いを計算した。相関を強くすると、ボース凝縮は抑制され、最終的には超流動と同様、絶対零度においても消失するという結果が得られたが、ここからもボース凝縮と超流動が非常に密接な関係を持っていることが分かる。超流動の計算は今後の課題であるが、このボース凝縮の消失により、汚れたボース系の強相関領域における新たな量子相転移現象を示すことができたといえよう。
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[Publications] M.Kobayashi, M.Tsubota: "Bose-Einstein condensation and superfluidity of dirty Bose gas"Physica B. 329-333. 212 (2003)
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[Publications] M.Kobayashi, M.Tsubota: "Superfluidity of disordered Bose systems : numerical analysis of the Gross-Pitaevskii equation with random potential"Physica B. 329-333. 210 (2003)
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[Publications] M.Kobayashi, M.Tsubota: "Superfluid-Insulator Transition of a Bose-Einstein Condensation in a Periodic Potential and Its Interference Pattern"Journal of Low Temperature Physics. 134. 665 (2004)