2005 Fiscal Year Annual Research Report
多重ゼータ関数の特殊値間に存在する代数構造とその母関数の関数等式についての研究
Project/Area Number |
03J06259
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井原 健太郎 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 多重ゼータ / アソシエーター / ダブルシャフル関係式 / 非可換巾級数環 / 導分 / ワイル群 |
Research Abstract |
1.多重ゼータ関数の正整数点に於ける特殊値である多重ゼータ値が、有理数体上生成する線形空間は次数代数になり、その構造は整数環上の混テートモチーフの圏の構造と密接に関わるなどの理由で興味の持たれる対象である。その次数代数の生成元の個数の評価について、金子昌信教授(九州大)、Don Zagier教授(MPI Bonn)との共同で、各次数成分にいくつの生成元が存在するか、更により詳しく、多重ゼータ値から自然に誘導される'深さフィルター'のどの階層部分に存在するかまで、精密な評価を与えた。多重ゼータ値の2種類の積構造に着目し、その構造の差から生じる多重ゼータ値間の関係式「ダブルシャッフル関係式」をある多変数多項式の等式の形で表記した。そして多項式環への自然な対称群の作用の言葉でダブルシャッフル関係式を記述することで、生成元の個数を多項式の空間の次元で一般的に評価することができた。 2.上記の問題をより詳しく考察する中で、深さフィルターの階層が3の生成元の空間にワイル群の対称性が存在することを証明した。(落合啓之助教授(名古屋大)との共同研究)その帰結として、階層3の生成元の個数評価をワイル群の不変式環のオイラー標数から明快に求めることができるようになった。この結果については論文を準備中である。 3.2変数非可換冪級数環上の自己同型と導分との関係についての研究:標数零の体が係数の2変数非可換冪級数環上の導分全体のなすリー環と、自己同型全体のなす群の間には指数・対数写像による1対1対応がある。この研究では、ある互いに可換な導分の族を定義しそれに対応する自己同型の族を求めた.もとは多重ゼータ値の研究に関連して,特殊な導分の指数像を個別的に計算していたが,その一般形を求めたのがこの研究である.それは多重ゼータと独立した代数的な問題でもあり、他の応用が期待できる。
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Research Products
(1 results)