2004 Fiscal Year Annual Research Report
成層土壌中の汚染物質の移動制御と土壌中の間隙流速ベクトルの同定に関する研究
Project/Area Number |
03J08318
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
遠藤 明 岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(PD) (70450278)
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Keywords | 五極子熱パルス(QPHP)法 / 流体輸送速度ベクトル / 熱・流体同時計測 / 3次元計測 / 土壌環境モニタリング |
Research Abstract |
本研究は,農地土壌および都市地盤における水分・肥料成分および汚染物質の輸送量および方向を把握し,物質移動を集約的に制御することにより,農地土壌環境および都市地盤環境を改良することを目的とした基礎的研究として位置付けられる。本年度は,汚染流体の輸送を把握する上で基礎となる土壌中の流体輸送量と輸送方向を確実に検知できるようなセンサーを開発することを目的に,平成15年度に製作した2つのQPHPセンサー(2D-QPHPセンサー)を併用する方法により,三次元方向の水フラックス密度ベクトルを同定した。アクリル製円筒カラムの中に土壌(砂質土,埴壌土および粘質土の3種類)を所定の密度にて充填し,複数のQPHPセンサーを埋設したのち給水を行い,水フラックス密度ベクトルおよび熱物性(温度拡散係数,体積熱容量,熱伝導率)の同時計測を行い,多孔質体中の物質およびエネルギー輸送を評価した。新規開発した3D-QPHPセンサーを用い,土壌等多孔質体中の流体速度輸送ベクトルおよび熱特性の同時測定を行ったが,輸送ベクトルの計測値が理論値よりも約50%小さい結果を得たことから,計測法の改良が必要である結論に至った。一方,2D-QPHPセンサーを複数用いて計測した多次元流れ場の輸送ベクトルと熱物性の計測値は,砂質土壌においてのみ±20%の誤差範囲で理論値と一致した。また,計測精度が低下するものの,多種土性においても水フラックス密度ベクトルと熱物性の同時計測が可能であることを示した。今年度の研究成果は,平成16年5月27日の計測自動制御学会(SICE)東北支部講演会,9月6日〜8日の生物環境調節学会講演大会,および9月9日の農業土木学会全国大会講演において,三次元QPHP法による流体輸送速度ベクトルの計測方法に関する研究結果を口頭およびポスターにて発表した。
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