2004 Fiscal Year Annual Research Report
中小製造企業におけるTFP成長の源泉と組織間ネットワーク
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03J08451
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
福川 信也 一橋大学, 大学院・商学研究科, 特別研究員(PD) (00433409)
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Keywords | イノベーション / 産学連携 / ベンチャー企業 / 異業種交流 / 共同R&D / 中小企業 / サイエンスパーク |
Research Abstract |
1.共同R&DがR&D生産性に与える影響 本研究では企業活動基本調査個票をベースに、共同R&Dへの参加の決定因、およびそれがR&D収益率に与える影響を分析した。分析の結果、以下の点が明らかとなった。第一に、企業規模、企業の技術的資源、企業間連携の経験は共同R&Dを促す。第二に、共同R&Dを通じたスピルオーバーの受益者として、ハイテク企業や中小企業が重要である。 2.中小企業による産学連携の特性分析 本研究では理工系学部を対象に行われた質問紙調査個票をベースに、中小企業の産学連携の特性を分析した。分析の結果、以下の点が明らかとなった。第一に、中小企業が大学研究者と結びつくには、非公式な場ではなく、リエゾンオフィスなどの公的機関の仲介が重要な役割を果たす。第二に、中小企業は技術指導を通じて、大学の知識を即時的な問題解決に利用している。第三に、中小企業と大学研究者との結びつきは、大企業のそれと比較して、地理的にローカライズされている。 3.異業種交流を通じたイノベーション 本研究では全国の質問紙調査個票をベースに、異業種交流を通じたイノベーションの成功の決定因を分析した。分析の結果、以下の点が明らかとなった。第一に、盛んなコミュニケーションや高いコミットメントは、共同製品開発を促す。第二に、公設試などの外部知識へのアクセスは技術的成功を促す。第三に、共同製品開発への取組みは、その技術的・商業的成功と関係なく、会員の製品開発能力の向上に貢献する。 4.サイエンスパークのベンチャー企業に対する経済効果 本研究ではサイエンスパークのベンチャー企業に対する経済効果を明らかにした。分析の結果、以下の点が明らかとなった。第一に、サイエンスパークはパーク立地企業と地元の研究機関との産学連携を促す。第二に、インキュベーションセンターもサイエンスパークと同様、産学連携の触媒として機能しうる。
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