2003 Fiscal Year Annual Research Report
海洋草食性ほ乳類ジュゴンの栄養生態と下部消化管機能に関する研究
Project/Area Number |
03J08732
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高橋 徹 三重大学, 生物資源学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | DGGE / 大腸 / 消化管内容物 / バクテリア / 発酵 / 攪拌 / ジュゴン |
Research Abstract |
目的 ジュゴンは草食性で、盲腸内で繊維を消化する後腸発酵動物である。そのため、盲腸内での細菌群について明らかにすることはジュゴンの消化戦略を明らかにする上で重要である。しかし、盲腸内容物中の菌叢は糞中の菌叢とは異なることから、草食動物のモデルとしてモルモットを用いて盲腸内の菌叢を部位別に解析に行った。 方法 4週齢モルモット(日本SLC)2頭を市販のペレット(CE-2,CLEA)で1週間予備飼育後、ジエチルエーテルで屠殺して内容物ごと大腸を取り出して、液体窒素で凍結した。凍結後、メスと鉄製の直径3mmパイプ(打抜きポンチ)を用いて盲腸から4ヶ所と近位結腸から2ヶ所内容物を採集した。すなわち0二つに分け主管腔と溝とした。採集した内容物はQIAamp DNA Stool mini kit (Qiagen)を用いてDNAを抽出し、16SリボソームRNA遺伝子の一部をGC357fと517rを用いてPCRにより増殖した。これを、DGGE (Denaturing gradient gel electrophoresis)(アクリルアミド濃度を6-12%、変性剤を40-60%)に供し、泳動後、ゲル中のバンドからDNAを出し、塩基配列を決め既存のデータベースとの比較により細菌種を推定した。 結果 DGGEの結果、盲腸体と近位結腸に直径方向の細菌群の違いが認められた。盲腸体においては他の盲腸内容物と細菌群が異なる部位が一ヶ所存在し、Ruminococcus albusやTreponema sp.と推定されるDNAを検出した。なお、この部位の細菌群は近位結腸の溝と類似しており、距離においても溝と比較的近くにある。溝の内容物が盲腸に輸送されることを考えると、溝から盲腸に到達した内容物は他の部位と容易に攪拌せずに盲腸内に存在し、異なる発酵様式を持っている可能性が推察される。
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[Publications] 高橋徹, 山中なつみ, 坂田隆, 小川宣子: "固形粒子の摂取がラット消化管内容物の粘度や消化管の組織重量に与える影響"日本栄養・食糧学会誌. 56. 199-205 (2003)
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[Publications] Toru Takahashi, Takashi Sakata: "Viscous properties of pig cecal contents and the contribution of solid particles to viscosity"Nutrition. 20. 377-382 (2004)