2004 Fiscal Year Annual Research Report
セミインタクト細胞系を用いたアグリソーム形成機構の分子基盤とその制御機構の解析
Project/Area Number |
03J08794
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 忍 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アグリソーム / ABCA1タンパク質変異体 / セミインタクト細胞 / GFP融合タンパク質 / 可視化解析 / オートファジー |
Research Abstract |
アグリソームは、小胞体近傍で凝集した変異タンパクがダイニン依存性の逆行輸送により、微小管形成中心に輸送された結果、形成される凝集体構造である。このような異常タンパク質凝集・蓄積と神経変性疾患の発症との関連性が議論されているが、その形成における分子機構には未だ不明な点が多い。以前から、アグリソーム形成は正常タンパク質輸送経路からの異常タンパク質排除のための細胞応答であるとの推測がなされていたが、近年、そのような異常タンパク凝集体の分解にオートファジー経路が関与している可能性を示す報告が提出された。 そこで、本年度は、すでにプロテアソーム阻害剤存在下でアグリソーム形成が確認されているABCA1タンパク質変異体のGFP融合タンパク質発現培養細胞を用いて、オートファジーによるアグリソーム分解の可能性を詳細に検討した。まず、オートファジー活性に影響を与える薬剤をアグリソーム形成条件下の上記細胞に添加した後、アグリソームの蛍光顕微鏡観察をおこなった。その結果、オートファジー活性化を誘導するラパマイシンの添加で、アグリソーム構造の有意な減少が確認された。逆に、オートファジー経路の進行を阻害するバフィロマイシンA1の添加では、細胞内でのABCA1変異タンパク質凝集体蓄積の増加が確認された。これらの薬剤処理を施した細胞のウエスタンブロット解析をおこなったところ、ラパマイシン処理細胞は、薬剤無添加細胞、およびバフィロマイシンA1処理細胞に比べて、明らかなABCA1変異タンパク質の減少が確認された。さらに、薬剤無添加、およびバフィロマイシンA1処理細胞では、1% Triton X-100不溶性画分に多くのABCA1変異タンパクが集積することも明らかになった。この結果は、先の蛍光顕微鏡観察結果とも一致する。また、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子が形成するアグリソームにおいても同じ結果を確認している。
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Research Products
(4 results)