2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J08941
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
森田 うめ代 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | X線天文学 / X線天文衛星 / X線検出器 / マイクロカロリメータ / エネルギースペクトル / 楕円銀河 / 銀河団 |
Research Abstract |
2005年に打ち上げ予定のX線天文衛星Astro-E2の地上試験に参加し、マイクロカロリメータ(XRS)の特性を十分に把握した上で、シミュレーション等に基づいて観測計画を立てた。2004年夏に募集された第一回観測公募では、楕円銀河NGC507の観測を私がPIとして提案し、優先度Bで採択された。これは全天でも屈指の明るい楕円銀河であり、Astro-E2の観測によりさまざまな重元素の分布が得られ、過去の星生成活動や銀河団の重元素の起源が解明されると期待される。また、チャンドラ衛星の観測した、スパイラル銀河のみからなる銀河群HCG80を観測し、特に一番明るい銀河では活発なスターバースト活動が発生しており、高温ガスが銀河の外へ30 kpcもの長さにわたって流れ出していることを発見し、PASJの論文として出版した。引き続き、楕円銀河を含む銀河群HCG62のチャンドラおよびニュートンによる観測結果の解析を進めており、中心部のガスの空洞の性質や、中心部の重元素分布などを明らかにしつつある。 観測研究と並行してTES型マイクロカロリメータの多ピクセル化に向けた開発を進めた。Bi吸収体をつけた256素子のカロリメータが世界で初めて製作され、そのX線による試験を行った。冷却によるストレスのため、吸収体の多くが剥離するという問題が見られたが、一部の素子はX線検出器として動作することを確認した。吸収体をつける方法について、従来の電析に加えて、蒸着など別の方法についても、あわせて検討を進めている。
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