2004 Fiscal Year Annual Research Report
近世ハンガリー農村社会における宗教的・社会的秩序に関する研究
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03J09535
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯尾 唯紀 北海道大学, スラブ研究センター, 特別研究員(PD) (80431352)
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Keywords | 近世ハンガリー社会 / 紛争解決 / 領主裁判 / 村落裁判 / 地域社会 / 農民自治 |
Research Abstract |
本研究は、領主と村落、諸教会の関係に着目しながら近世ヨーロッパ東部の社会秩序の特質を明らかにすることを目的としている。この目的の達成のため、本研究では(1)ハンガリー北東部を中心とした事例研究と、(2)時代的・地域的な比較検討が、課題として設定されている。 2年度目にあたる平成16年度には、(1)に関して、平成15年度に実施したハンガリーにおける史料収集・分析の継続と、調査成果の一部公表、(2)に関して、事例研究の成果の比較検討を目的としたイギリスでの予備調査・意見交換をおこなった。 (1)ハンガリー北東部の史料収集・成果公表:平成16年12月、及び平成17年3月にハンガリー国立文書館、ハンガリー国立図書館等で、北東部諸州(ボルショド州、ゲメル州)の領主裁判と村落裁判、貴族州裁判に関連する史料の調査を実施した。また、昨年度の調査結果をもとに、ハンガリー北東部の一所領を事例として、領主裁判の法的枠組み、裁判をめぐる領主と村落の関係について分析した。その成果は、「ハンガリー王国北東部の領主裁判と村落・市場町」『東欧史研究』27号に投稿され、掲載予定とされている。 (2)地域的・時代的比較のための予備調査:平成16年9月から現在まで、オックスフォード大学現代史学科に滞在し、特にイギリスとの比較を念頭におきながら、地域的・時代的な比較検討のための史・資料の収集を行った。また、これと平行して、ヨーロッパ近世史セミナー、ポーランド史セミナー等に参加し、中欧地域の近世史研究の動向に関する情報収集に努めた。
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