2005 Fiscal Year Annual Research Report
更新世終末期の極東における先史人類の適応行動変化に関する比較考古学的研究
Project/Area Number |
03J09538
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長沼 正樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 先史考古学 / 国際研究者交流 / 更新世終末期 / 両面調整石器 / 石器群構造 / 環境適応 / 日本・ロシア・韓国 |
Research Abstract |
本年度の研究は、フィールド調査を継続しつつ昨年の博士論文の内容をもとに、地域間の比較検討に着手しながら、研究成果の一部を国内外の学会に公表した。 昨年までのアムール下流域でのフィールド調査の成果の一部を『北海道旧石器文化研究』10号および世界考古学会議(WAC)中間会議で公表した。 本年度のフィールド調査は、同じ地域で新石器より下層に包含されると予測した旧石器の検出を目的として、アシノーヴァヤ・レーチカ地区で実施した。しかし調査地点では旧石器遺物を確認できなかった。そこで極東の内陸部や極北地域も含めた後期旧石器に相当する遺跡を、ロシア側で調査された文献資料上で検討して、アムール下流域には、両面調整石器を中心とする旧石器文化が更新世に展開した可能性を見出し、『考古学ジャーナル』誌No.540号に公表した。 また博士論文の一部に、新たな情報を加えて書き直し、日本列島の更新世終末期の学説史として『論集忍路子』第1号に公表した。同じく博士論文の一部、両面調整石器のリダクションモデルに関する部分は、国際誌Current Research in the Pleistoceneに投稿した。 比較地域の一つとして昨年度着目していた北海道島について、更新世終末期石器群として忍路子石器群と落合モサンル石器群を対象に、先行研究の検討と新資料の実地観察を実施した。忍路子石器群が石刃運搬型リダクション戦略で環境に適応していたことに対し、落合モサンル石器群は、両面調整石器リダクション戦略を中心とした石材利用であり、両者の行動形態は大きく異なるとの見通しを得た。しかし年代学的情報と古環境復元の検討が不十分であることから、まとまった成果として公表してはいない。 なお本年度公表した実績の他にも、今後の作業と展開次第で公表可能な状態にもっていける蓄積内容はある。これらについても、国内・外に随時公表する予定である。
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Research Products
(6 results)