2004 Fiscal Year Annual Research Report
大陸衝突帯における大地形の形成:断層系の時間発展と侵食・堆積の相互作用
Project/Area Number |
03J09575
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高田 陽一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 断層系時間発展 / 大陸衝突帯 / 侵食・堆積 / 地形発達 / ヒマラヤ / 台湾 / 熱流量 |
Research Abstract |
大陸衝突帯における大地形の形成は大陸プレート同士の収束運動に起因する。収束運動に伴うプレート間の力学的相互作用はプレート境界面での変位の食い違い運動(すべり)で合理的に表現される。このすべりに伴う地殻の変形運動はプレート境界面の形状に強く規定されるが、長い時間スケールではこうした地殻の変形運動がさらにプレート境界面の形状を改変するというフィードバックプロセスが生じる。本研究の目的は侵食・堆積作用がこのフィードバックプロセスにどう影響してどのようにプレート境界断層系を形状変化させ、地形形成過程をどう改変するのかを定量的に理解することである。 本年は隆起と侵食が同時にかつ非常に速い速度で進行している大陸衝突型造山帯である台湾島に着目し、3次元粘土モデルを用いて地下構造(断層形状)発達史を考察し、その結果を観測量と徹底的に比較することで来る数値シミュレーションの基礎を確立した。まず、地下構造発達の幾何学的考察から台湾島の隆起速度場を論理的に導いた。次に、台湾島形成に寄与した東シナ海大陸棚浅部堆積物の物質収支を現実的に見積もることに成功した。以上の2点を同時に考慮して得られた隆起・侵食速度場は、観測された地表熱流量分布と調和的であることを示した。こうした激しい隆起・侵食運動は台湾島の地殻浅部に発達する衝上断層群の時間発展に大きな影響を与える。以上の成果をTectonophysicsに投稿する。 ヒマラヤ山脈について断層形状の時間発展を考慮した地形発達の数値シミュレーションを行い、その結果を侵食速度の標高依存性や地質学的観測事実と詳細に比較することでヒマラヤ山脈上昇史のシナリオを得た。この成果を近日中にJournal of Asian Earth Sciencesに投稿する。 2月下旬より、隆起と侵食の相互作用の研究が盛んなコロラド大学で研究に従事する。
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Research Products
(3 results)