2004 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル帝国=元朝の文書行政システム及びその民族・言語の諸相
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03J10150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舩田 善之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | モンゴル時代史 / 元代史 / 文書行政システム / 蒙文直訳体 / 多民族社会 / 民俗接触 / 接触言語 / 色目人 |
Research Abstract |
本年度も、前年度に引き続き、中国の碑刻調査ならびに国内の文献調査によって、研究上必要な資料を閲覧・収集した。8月には、中国山西省東南部の長治・晋城一帯と河南省済源・登封一帯の寺廟観・碑刻を調査した。この調査及び事前事後の文献調査の成果は、「山西・河南訪碑行報告(附:山西・河南訪碑行現存確認金元碑目録)」としてまとめた。国内では、東洋文庫・東京大学東洋文化研究所に所蔵される中国歴代地方志の調査、京都大学人文科学研究所に所蔵される霊巌寺(中国山東省霊巌寺)の碑刻の拓本調査を行った。 また、前年度に閲覧・収集した資料を活用し、これに基づいた研究を展開させた。具体的には、元代文書行政の重要な一段階である命令文書の開読(開封して発令対象者に向かって宣読すること)に焦点をあてて、その形式や手順、ならびにそれをとりまく歴史状況を明らかにした。また、これに深く関わる開読のために派遣される使臣の問題も考察した。これらの成果については、7月に中国社会文化学会2004年度大会・第41回日本アルタイ学会で口頭発表を行った。前者は論文「元代の命令文書の開読について」として公刊される。また、公文書を刻した碑刻に対する事例研究として、8月に中国で開催された国際会議・元代社会文化曁元世祖忽必烈国際学術研討会の全体大会において、「≪霊巌寺執照碑≫碑陽所刻公牘的価値」と題する口頭発表を行った。同題の論文が『元史論叢』に掲載されることが決まっている。 そのほか、本研究と関連の深い研究書『モンゴル帝国と大元ウルス』(杉山正明著)の書評や、当時の「民族」の諸相を制度面から検討した「色目人与元代制度・社会」も発表した。
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