2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50091
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山ノ内 路彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強磁性半導体 / ガリウムマンガン砒素 / 電流注入磁壁移動 |
Research Abstract |
本年度は、強磁性半導体ガリウムマンガン砒素の薄膜を対象に、電流注入による磁壁移動の観測に適した構造の作成、及び電気的な異常ホール効果と磁気光学カー効果顕微鏡による磁区観察を用いた、電流注入磁壁移動による磁化反転の評価を行った。 1 電流注入による磁壁移動の観測に適した構造の作成 より明確に電流注入磁壁移動を観測するための工夫として以下の2つのことを行った。まずガリウムマンガン砒素層を成長した後に、成長温度付近の温度でアニールを施すことにより電気抵抗を下げ、電気的な測定を容易にした。またバッファ層を通常の成長温度よりも低温で成長することにより転位の発生を減少させ、磁区像をより明確に観測できるようにした。 電流注入磁壁移動を観測するための構造として、面直方向に磁化容易軸をもつガリウムマンガン砒素薄膜をホールバー形状に加工した後、ホールバーの片側半分を数ナノメートルエッチングすることにより面内に保磁力差をつけ、磁壁位置を制御する構造を作成した。この構造を用いることにより、電気的な異常ホール効果と磁気光学カー効果顕微鏡による磁区観察の双方から電流注入磁壁移動を観測した。その結果、磁壁は電流と逆方向に移動することを確認した。 2 電流注入磁壁移動による磁化反転の評価 上記の構造を用いて電流注入による磁壁移動を評価した結果、以下の2つのことが分かった。まず、数ナノメートルの段差が磁壁に対して障壁として働くことが分かった。また上記構造における電流注入磁壁移動の閾電流密度は、金属強磁性体細線において報告されている閾電流密度と比較して、2から3桁小さいことが分かった。
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