2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50091
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山ノ内 路彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強磁性半導体 / ガリウムマンガン砒素 / 電流誘起磁壁移動 |
Research Abstract |
本年度は、強磁性半導体ガリウムマンガン砒素段差構造により配置した磁壁をパルス電流で移動させ、異常ホール効果による磁気輸送測定と磁気光学カー効果顕微鏡による磁区観察を用いて、磁壁の移動速度(磁壁移動による磁化反転の速さ)を評価することを目的として以下の2つのことを行った。 1 磁壁移動速度の評価 評価に用いた素子構造は、昨年度に電流誘起磁壁移動が観測された面内に2つの段差を有する構造であり、この構造により1つの磁壁を配置するだけでなく、中央の領域に磁壁を閉じこめることができる。外部磁場を印加することにより磁壁を配置し、パルス電流を印加して、磁壁の移動速度の評価を行った。その結果、素子抵抗が高いために、パルス幅の短いパルス電流を印加することが難しくなること。また、磁壁移動の過程で磁壁の形状が複雑になり、磁壁の移動速度の評価が難しくなることが分かった。そのため、素子構造を検討する必要があることが分かった。 2 電流による磁壁移動速度を評価するための構造の検討 素子構造としては、ガリウムマンガン砒素よりも抵抗が低い電極パッドを作成することにより、素子抵抗を8分の1程度に下げられることが分かった。磁壁移動の過程で磁壁の形状が複雑になる原因としては、インジウムガリウム砒素バッファ層とガリウム砒素基板の格子不整合に起因して表面に形成されるクロスハッチパターンの凹凸が考えられるため、表面の凹凸を抑制することを考えた。昨年度は、バッファ層を通常の成長温度よりも低温で成長することにより表面の凹凸を抑制させた。本年度は、インジウムガリウム砒素層を成長中にインジウム組成を徐々に増加させることで表面の凹凸をさらに抑制できることが分かった。
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