2003 Fiscal Year Annual Research Report
RNAポリメラーゼIIによる転写伸長反応を制御する因子群の機能解析
Project/Area Number |
03J50311
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 正紀 東京工業大学, 生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子発現 / 転写伸長制御 / 伸長複合体 / 核抽出液 / カラムクロマトグラフィー |
Research Abstract |
遺伝子発現の第一段階である転写反応は、RNAポリメラーゼII(RNAPIIによって遺伝情報が遺伝子DNAからmRNAに変換される過程である。これまで転写制御の標的は一連の反応の中で開始反応であると考えられてきたが、近年、伸長反応を制御する転写伸長因子が相次いで同定され伸長段階のRNAPII厳密な制御を受けていることが明らかとなった。 この様な中、当研究室では新規転写伸長因子DSIF/NELFを精製・同定し、これらの因子が協調してRNAPIIの伸長反応を抑制することを報告した。さらに転写伸長因子P-TEFbによってリン酸化されたRNAPIIはDSIF/NELFが結合しないことから、DSIF/NELFによる抑制はP-TEFbによって解除されるというモデルを提唱した。しかし、その後の解析によりP-TEFbも単独ではこの伸長抑制を解除しきれないことが示され、DSIF/NELF/P-TEFbによる転写伸長制御にさらなる因子の必要性が示唆された。そこで本研究ではこの新規因子の同定と機能解析を生化学的・分子生物学的手法を用いて行い、DSIF/NELFによる転写伸長制御の全貌を明らかにすることを目的とした。 DSIF/NELFによる転写伸長制御に関わる新規因子を同定するために、新たなin vitroアッセイ系の構築を行った。磁気ビーズに固定化したDNAを鋳型とする転写反応を行い、この鋳型DNAを回収して洗浄することによりDISF/NELF/RNAPIIの伸長複合体を単離する。この伸長複合体に精製したP-TEFbを加えてただけでは抑制は解除されないが、さらにHeLa細胞核抽出液を分画したフラクションを加えると抑制は解除されることを示した。現在はこの新しく構築したアッセイ系を利用して、新規因子が含まれるフラクションを様々なカラムクロマトグラフィーで分画している。
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