2004 Fiscal Year Annual Research Report
電気的シナプスを含む神経場における動的細胞集成体形成の時空ダイナミクスと情報処理
Project/Area Number |
03J52021
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 裕 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | カオス / ニューラルネットワーク / 同期現象 / ギャップジャンクション |
Research Abstract |
大脳皮質に存在する介在細胞のダイナミクスを簡約化したモデルであるI型ニューロンモデルが,ギャップジャンクション型のシナプス結合により結合された神経回路網の振る舞いの解析を行った.ポアンカレ切断面上のポアンカレ写像の解析を元に分岐構造を明らかにした. 時空間上のプロットでは,ニューロンが同期して発火する状態と短時間の非同期状態を繰り返すパターンが見られるが,ポアンカレ断面上の観察により,これは低次元のカオス的アトラクタであることがわかった.パラメータを変化させることにより,分岐が起こり数種類のアトラクタが観察される.この内のひとつの状態は,対象とする力学系に内在する対称性によって存在する不変部分空間内の不変集合の,不変部分空間の直交補空間方向に対する安定性の変化によって生じるin-out intermittencyとして特徴づけられることを明らかにした.また,パラメータを変化させるとこのアトラクタが不安定化し,アトラクタの痕跡に滞在する状態と高次元のカオス状態との間を遷移する振る舞いが現れる.この転移について,転移点付近でのアトラクタ痕跡への滞在時間の頻度分布,リアプノフ指数の変化の特徴,各ニューロン間の振動数の差などを調べた.この転移はin-out intermittency型のとは異なるメカニズムを持っていると考えられる. 上記の介在細胞系と,錐体細胞系を結合した系において動的な連想記憶を実現する回路モデルの構築を念頭に置いて,複数の細胞モデルの比較検討,シナプス学習則の検討を行った.
|
Research Products
(1 results)