2005 Fiscal Year Annual Research Report
各種微生物学的アプローチによるエネルギー回収型廃水処理制御技術の開発
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03J52481
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山田 剛史 長岡技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | UASB / 嫌気性バルキング / 糸状性細菌 / FISH / Chloroflexi / KSB3 / 門レベル |
Research Abstract |
本研究では、中温UASB汚泥のバルキング原因菌に焦点を当て、その微生物を分子遺伝学的に同定し、その生態と機能を明らかにすることを試みた。フルサイクルrRNAアプローチをバルキング汚泥内の糸状性細菌に適用したところ、その細菌は、真正細菌の門レベルで新規なクローンクラスター(KSB3門)に属していた。これまで、中温UASB汚泥の糸状性バルキングは観察されているものの、その現象に関与する微生物の同定例は皆無であった。KSB3門細菌の発見は、UASB汚泥にとって第二のバルキング原因菌の発見でもあった。バルキング前の健全なUASB汚泥にKSB3門細菌に特異的なプローブを用いたFISH解析を行ったところ、KSB3門細菌は、グラニュール汚泥表面に主要な微生物群の一つとして存在していることが観察された。次に、KSB3門細菌の生育環境とその遺伝学的多様性を調査するため、KSB3門細菌に特異的なプライマーセットを用いたクローン解析により10種の中温・高温嫌気汚泥を調査した。10種の嫌気汚泥の内、2種の中温UASB汚泥のみKSB3門細菌由来の16SrRNA遺伝子クローンを回収した。そのクローンの塩基配列の相同性は、98%以上であった。このような生育環境の狭さと遺伝学的多様性の低さは、KSB3門細菌が、ある特別な生育環境を要求することを示唆しているのかもしれない。あらゆる培養技術を駆使してKSB3門細菌の培養分離を行ったが、培養分離することは困難であった。 培養困難であったKSB3門細菌の基質資化能を推定するために、配列特異的SSU rRNA切断法に基づいた新規基質推定法を考案、適用した。また、上述した基質推定法で推定された基質に対して、既存の基質推定法であるMAR-FISH法を適用した。その結果、KSB3門細菌は、グルコースやマルトースのような廃水中の糖を利用している細菌群であることが判明した。
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[Journal Article] Anaerolinea thermolimosa sp.nov., Levilinea saccharolytica gen.nov., sp.nov. and Leptolinea tardivitalis gen.nov., sp.nov., three novel filamentous anaerobes and the formal creation of the new classes Anaerolineae and Caldilineae classis nov. in the bacterial phylum Chloroflexi.2006
Author(s)
T.Yamada, Y.Sekiguchi, S.Hanada, H.Imachi, A.Ohashi, H.Harada, Y.Kamagata
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Journal Title
Int.J.Syst.Evol.Microbiol. (in press)
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