2003 Fiscal Year Annual Research Report
多主体間主義による安全保障制度の考察-国連の新たな安全保障機能を中心として-
Project/Area Number |
03J53111
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
清水 奈名子 国際基督教大学, 大学院・行政学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 国際連合 / 安全保障 / 平和維持活動 |
Research Abstract |
平成16年1月以降現在まで行っている研究は、主に以下の二つの作業である。第一は、国連の集団安全保障制度についての文献・論文を収集・分析し、1990年代から今日に至るまでの同制度の実行およびそれらをめぐる評価をまとめる作業である。具体的には、従来型、および多機能化している平和維持活動、安全保障理事会により授権された多国籍軍による活動が分析の対象となる。この作業の目的は、「多主体間主義(multilateralism)」を構成原理とする国連の安全保障制度の変遷と今後の可能性を明らかにすることである。 第二は、国連による「多主体間主義」としばしば対比される最近の米国による「単独行動主義(unilateralism)」的な安全保障政策の問題点を明らかにするため、2003年に行われ現在も混乱が続いているイラク戦争とその戦後占領政策の実行と問題点に関する資料・論文を収集し、分析する作業である。対象となる論文は、国際法上の論点を扱うもののみでなく、戦争および占領政策の正当性を扱った政治学的な論文も含め、法的・政治的な論点双方に目配りする分析を行っている。この作業の目的は、単独行動主義的な安全保障政策の問題点を克服する制度としての国連の集団安全保障制度の可能性と課題を検証することである。これらの作業で集められた情報・分析を土台として、平成16年度においては博士論文の執筆を開始し、完成を目指す予定である。 (補助金の支給が実際に開始されたのが平成16年1月からであったため、平成15年度分の補助金によって遂行される研究実績は平成16年度中に、当該年度の補助金による研究とあわせて発表する予定である。尚、研究に従事している大学院の規定により、平成15年度分の研究内容については「研究報告書」を作成し、2月末に担当部署に提出済みである。)
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