1993 Fiscal Year Annual Research Report
北アメリカ北西部原住民(エスキモーとインディアン)の言語学的調査
Project/Area Number |
04041011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮岡 伯人 北海道大学, 文学部, 教授 (60002979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MITHUN Maria カリフォルニア大学, サンタバーバラ校, 教授
KINKADE M.Da ブリティシュ, コロンビア大学・言語学科, 教授
早津 恵美子 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (60228608)
大島 稔 小樽商科大学, 言語センター, 教授 (00142787)
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Keywords | エスキモー語 / アリュート語 / インディアン諸言語 / セイリッシュ語 / アサバスカ語 / ハイダ語 / ツィムシアン語 / ヌ-トカ語 |
Research Abstract |
前年度までの調査資料の分析結果にもとづき、不足部分の補充とあらたに所在の判明した調査項目について、予定どおり約一ヶ月ないし二ヶ月間の聞き取り調査を実施した。 エスキモー語は、宮岡が形態・統語法の問題、早津が日本語と類似を示す相対動詞の問題、アリュート語は、大島が音律素現象の闡明に重点をおいた調査を実行した。 インディアン諸言語については、研究協力者各人が、宮岡、ミスン、キンケイドの協力を得ながら、つぎのような調査を実施し成果を得た。渡辺がセイリッシュ語族のコモックス語スライアモン方言の形態論のうち特に重複法に関してまとめるに充分な資料を、堀がハイダ語の音韻分析をまとめるに充分な資料を得たので、それぞれその成果の一部を修士論文としてまとめた。箕浦が修士論文をさらに発展させるアサバスカ語比較音韻論の資料を得た。また、笹間がツィムシアン語、中山がヌ-トカ語、市橋がマコ-語の音韻法をまとめあげるための資料を得た。 現地調査での聞き取りによる資料収集とは別に宮岡がシアトルのワシントン大学で文献資料の収集と情報交換を行い、宮岡、堀、笹間がアラスカ大学で資料収集と情報交換を行った。 ミスンが6月に約一週間、キンケイドが1月に約一週間、札幌(北海道大学)を訪れ、ミスンは研究協力者の調査計画を討議し、キンケイドはセイリッシュ語を中心に調査成果について研究協力者と討議・指導した。 宮岡が東京に、早津が札幌に出向き、それぞれ一回の特にエスキモー語についての研究打ち合せを予定どおり行った。
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[Publications] 宮岡伯人: "エスキモー語の使役接尾辞について" 科学研究費(一般研究C)報告書動詞の自他対応をめぐる日本語とエスキモー語の対照研究. 21-48 (1994)
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[Publications] 宮岡伯人: "環太平洋の言語世界" 月刊・言語(大修館書店). 21(8). 30-37 (1992)
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[Publications] 大島稔,宮岡伯人編: "類別詞のタイプ:北アメリカ北西部を中心として" 北の言語:類型と歴史(三省堂). 109-127 (1992)
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[Publications] Oshima,Minoru: "Prosody and Vowel Reduction in Eastern Aleut" 北大言語学研究報告. 第6号. 12-20 (1994)
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[Publications] 早津恵美子: "ユピック・エスキモー語の派生接尾辞-cuun/-ssuunについて" 科学研究費(一般研究C)報告書動詞の自他対応をめぐる日本語とエスキモー語の対照研究. (1994)
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[Publications] 早津恵美子: "受身と使役の接近" 言語学研究(京都大学言語学研究会). 11. 1-25 (1992)
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[Publications] Minoura,Nobukatsu: "A Comparative Phonology of the Upper Tanana Athabaskan Dialects" 北大言語学研究報告. 第6号. 21-58 (1993)
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[Publications] 箕浦信勝・亀井孝・河野六郎・千野栄一(編著): "上タナナ語" 言語学大辞典(三省堂). 5. 105-109 (1993)
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[Publications] 渡辺己・亀井孝・河野六郎・千野栄一(編著): "コモックス語" 言語学大辞典(三省堂). 5. 150-154 (1993)
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[Publications] 渡辺己・亀井孝・河野六郎・千野栄一(編著): "海岸セィリッシュ語派" 言語学大辞典(三省堂). 5. 61-69 (1993)
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[Publications] 堀博文・亀井孝・河野六郎・千野栄一(編著): "サイウ-スロー・下ウムプコア語" 言語学大辞典(三省堂). 5. 155-161 (1993)
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[Publications] 堀博文・亀井孝・河野六郎・千野栄一(編著): "トンカワ語" 言語学大辞典(三省堂). 5. 245-251 (1993)
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[Publications] 宮岡伯人(編): "北の言語:類型と歴史" 三省堂, 454 (1992)
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[Publications] Miyaoka,Osahito(ed.): "Languages of the North Pacific Rim(『北大言語学研究報告』第6号)" 北海道大学文学部言語学研究室, 300 (1994)
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[Publications] Minoura,Nobukatsu: "A Comparative Phonology of the Upper Tanana Athabaskan Dialects" 北海道大学大学院文学研究科修士論文, 78 (1993)
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[Publications] Wanatabe,Honore: "A Report on Sliammon(Mainland Comox)Phonology and Reduplication" 北海道大学大学院文学研究科修士論文, 95 (1994)
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[Publications] Hori,Hirobumi: "Phonology of Skidegate Haida" 北海道大学大学院文学研究科修士論文, 118 (1994)
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[Publications] 早津恵美子、須賀一好: "動詞の自他" ひつじ書房, 300 (1994)