1993 Fiscal Year Annual Research Report
変容するカラハリ狩猟採集民サンの生態と社会に関する人類学的研究
Project/Area Number |
04041059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅原 和孝 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80133685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ダッタ A. ボツワナ大学, 開発研究所, 教授
池谷 和信 北海道大学, 文学部, 助手 (10211723)
大崎 雅一 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 講師 (40254453)
大野 仁美 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (70245273)
中川 裕 東京外国語大学, 外国語学部, 助手 (70227750)
野中 健一 名古屋大学, 文学部, 助手 (20241284)
伊谷 純一郎 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10025257)
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Keywords | 人口動態 / 混合経済 / 乾燥地への適応 / 会話分析 / 現金経済の浸透 / グウィ・ガナ方言 / 民族分類体系 / 昆虫食生態 |
Research Abstract |
(1)定住地の複数の居住集団において人口学的資料の収集と分析を行い、定住化以降の出産率の増大と幼児死亡率の低下が明らかになった。また定住村落以外の近隣地域の比較調査から、広域にわたる家畜の貸借関係を分析するとともに狩猟採集生活と混合した牧畜活動の様相を解明した。さらに雨季における農業活動の観察から労働投下量と収穫量の概略を把握するとともに、栽培品種の多様性と乾燥地における適応力を解明した。 (2)VTR資料に基づき日常会話を分析することにより、相手に依頼や要求を行う際にサンが依拠するロジックと戦略を明らかにした。また現金経済の浸透が伝統的な道具製作技術にも大きな影響を与えているばかりか、異なる世代間の対立をも生み出していることを明らかにした。 (3)グウィ・ガナ両方言の文法記述に不可欠な形態論・統語論の基礎資料を収集するとともに狩猟文化に特徴的な動物に関わる特殊語彙を調査した。また言語芸術(歌や韻文)資料を記録し、音韻論的・音声学的な解析を行った。さらに親族名称の体系を言語学的に明らかにし、婚姻・譲渡・対人姿勢などの行動規範との関わりを解明した。 (4)ナミビアでの広域調査との比較に基づき中央カラハリ地域の鳥類相の資料を集積し、民族分類体系の特性を明らかにした。また、昆虫類の名称体系を記述・分析すると同時に、昆虫食生態の適応的意義を解明した。 (5)ボツワナ大学のスタッフは、現地調査をふまえ、文書館の独立以前の歴史資料を分析し、バントゥ系農牧民とサンとの接触の特徴を明らかにした。また研究代表者はロンドンにおいて植民地時代の関連資料を検索・収集した。
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[Publications] 菅原和孝: "姿勢の自然と文化-アフリカ狩猟採集民の社会から-" 体育の科学. 44-1. 11-16 (1994)
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[Publications] 菅原和孝: "カラハリ砂漠の狩猟採集民、サン" 週刊朝日百科 動物たちの地球:地球と人間の歴史(5):自然と共に生きる. 137. 140-143 (1994)
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[Publications] 中川裕: "グウィ語調査初期報告" アジア・アフリカ文法研究. 22. 55-92 (1994)
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[Publications] 菅原和孝(共著), 三上章允(編): "視覚の進化と脳" 朝倉書店, 239 (1993)
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[Publications] 菅原和孝(共著), (祖田修ほか編): "文化の地平線-人類学からの挑戦-" 世界思想社, 700 (1994)
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[Publications] 菅原和孝(共著), (高畑由起夫 編): "性の人類学 (近刊)" 世界思想社, 400 (1994)
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[Publications] 菅原和孝(共著), (米山俊直 編): "現代人類学を学ぶ人のために (近刊)" 世界思想社, 400 (1994)
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[Publications] 菅原和孝(共編): "叢書身体と文化第2巻:コミュニケーションとしての身体 (近刊)" 大修館書店, 600 (1994)