1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04041066
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 幸丸 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20025349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沢 秀行 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60027498)
横田 直人 大分短期大学, 園芸科, 講師 (30158365)
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60111986)
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Keywords | チンパンジー / ハンマー使用 / 文化伝播 / 葉っぱスポンジ使用 / アリ釣り / 異種混群 / 交尾・繁殖成功度 |
Research Abstract |
1.ギニアのボッソウでは、野生チンパンジーの接近観察とVTR記録によって、アブラヤシの種子を割るハンマー使用行動の詳細を明らかにしてきた。今年度は、ハンマー使用技術の個体発達過程を継続的に追跡記録すると同時に、以下の諸点を明らかにした。 3.隣接チンパンジー生息地であるニンバ山脈のコートジボアール側(イェアラ)は高層森林であり、ここでは、ボッソウとは異なる木の実を対象にハンマー使用を確認した。この実をボッソウに持ち帰りチンパンジー観察場に置いたところ、1頭だけが躊躇なくハンマー使用によって割り、他の個体はまったく関心を示さなかった。このことから、両生息地間の交流と文化の伝播過程の探求に新たな可能性を見出した。 4.葉をくしゃくしゃにして狭い木の窪みにたまった水に浸し、水分を吸い取る行動(葉っぱスポンジ)はすでに確認していた。今回は実験的に水のみ場を設定することにより、葉の種類の選択や折り畳みかたに一定の方法があることを見出した。 5.サファリアリの大集団の中に細い棒を入れて、よじ登らせて食べる「アリ釣り」もすでに確認していた。この道具使用行動も、観察場で全個体について量的データを収集する見通しを得た。 6.環境の食物供給量を明らかにするために、チンパンジー群の主要遊動域の測量と植生地図の作成を開始した。 7.コートジボアールのタイ高層森林では、グエノンザル類の同種・異種間コミュニケーションに焦点をあてて、異種混群の成立要因を明らかにするための調査を開始した。 8.カメルーンのカラマルエ乾燥地帯では、交尾季でもある雨季のパタスザルの、群れ雄と群れ外雄の交尾と繁殖成功度の差を明らかにするための行動記録を収集した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 杉山幸丸: "西アフリカ生息チンパンジーの行動と生態" 学術月報. 45(9). 17-22 (1992)
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[Publications] 杉山 幸丸: "Local variation of tools and tool use among wild chimpanzee populations." In“Berthelet A,Chavaillon J eds.The use of Tools by Human and Non-human Primates."Clarendon Press of Oxford Univ.Press.175-190 (1993)
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[Publications] 杉山 幸丸,Koman J.: "The flora of Bossou:its utilization by chimpanzees and humans." Afr.Stud.monogr.13(3). 1-43 (1992)
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[Publications] 杉山 幸丸,伏見 貴夫,佐倉 統,松沢 哲郎: "Hand preference and tool using of wild chimpanzees." Primates.34(2). (1993)
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[Publications] 杉山 幸丸,川本 咲江,竹中 修,熊崎 清則,三輪 宣勝: "Paternity discrimination and iner-group relations of chimpanzees at Bossou." Primates.34(3). (1993)
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[Publications] 室山 泰之,杉山 幸丸: "Grooming relationships in two species of chimpanzees." In:“P.G.Heltn & L.A.Marquardt eds.Behavioral Diversity in Chimpanzees."Chicago Acad.Sci.,Chicago.(1993)
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[Publications] Matsuzawa,T.: "Nesting cups and meta-tool in chimpanzees." Behavioral and Brain Science.14(4). 570-571 (1991)
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[Publications] 松沢哲郎: "チンパンジーの死と死児の世話" 発達. 50. 95-104 (1992)