1992 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリア産ブラキスコーム属における染色体進化と分子進化の比較研究
Project/Area Number |
04041071
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
渡辺 邦秋 神戸大学, 理学部, 教授 (80031376)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小菅 桂子 神戸大学, 理学部, 助手 (50215266)
伊藤 元巳 東京都立大学, 理学部, 助手 (00193524)
矢原 徹一 東京大学, 教養学部, 助教授 (90158048)
|
Keywords | Brachy(s)come属 / 染色体数 / 核型分析 / 葉緑体DNA / RFLP / 核DNA / adh遺伝子 / 分子系統学 |
Research Abstract |
平成4年9月19日から10月11日にかけて、オーストラリア東部テーブルランドからの内陸半砂漠地帯で、Brachyscome属20種(33集団)、近緑属のCalotls属15種、Vittadinia属6種、Minulia属5種、Cotula属1種の種子、若いつぼみ、若葉、証拠標本を採集し、生育地の環境条件を調査した。また、平成5年1月23日から2月14日にかけて、オーストラリア東部山岳地帯で、Brachyscome属22種(39集団)、Calotis属3種、Vittadinia属1種、Solenogine属1種、Lagenifera属1種の種子、若いつぼみ、若葉、証拠標本を採集し、生育地の環境条件を調査した。平成4年秋の採集で得られたBrachyscome属20種33集団については染色体数の算定が終了し、B.muelleroides(n=3 II)とB.angustifoilia var.heterophylla(2n=10)では、初めて染色体数が明らかになった。また、B.nova-anglica(n=6 2)、B.aff.nova-anglica(n=5 2)、B.microcarpa(2n=12)では、これまでの報告とは異なる新しい染色体数が明らかになった。残りの種では以前に報告されている染色体数を確認するとともに、細胞地理学的情報が豊富になった。B.papillosa(2n=8)、B.angustifolia var.heterophylla(2n=10)、B.stuartii(2n=12)、B.microcarpa(2n=12)では詳細な核型が分析された。採集した全種の若葉から抽出したDNAは、制限酵素で切断し、電気泳動し、レタスの葉緑体DNAのプロープをハイプリダイズして、断片長多型(RFLP)を解析し始めたところである。また、抽出したDNAに、作成したアルコール脱水素酵素の遺伝子のプライマーを入れ、PCR法により、adh遺伝子の一部を増幅させ、塩基配列の決定に取りかかっているところである。これらの核および葉緑体DNAの変異に基づく分子系統樹を構築し、染色体や他の形質進化の様相を解析する予定である。
|