1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04041082
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
五十嵐 章 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (40029773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUPAT Suchar タイ国マヒドン大学, 熱帯医学部, 教授
SAVANAT Thar タイ国マヒドン大学, 熱帯医学部, 教授
SUNTHAREE Ro タイ国衛生研究所, ウイルス研究所, 室長
PAIJIT Warac タイ国衛生研究所, ウイルス研究所, 所長
NADHIRAT San タイ国衛生研究所, 名誉所員
伊藤 高明 住友化学, 宝塚総合研究所, 主任研究員
江下 優樹 久留米大学, 医学部, 講師 (10082223)
田中 真理子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (70197474)
森田 公一 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (40182240)
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Keywords | デングウイルス / 遺伝子検出 / IgM-ELISA / デング熱 / デング出血熱 / 媒介蚊の感染率 / 幼若ホルモン / ポリメラーゼ連鎖反応 |
Research Abstract |
(1)ナコンパノム県立病院で軽症のデング熱(DF)患者70名,重症のデング出血熱(DHF)患者28名から,急性期・回復期血清およびヘマトクリット検査後の血液検体を採取した。血清検体はC6/36細胞接種によるウイルス分離とIgM-ELISAによる抗体測定を行い,各検体について逆転写酵素・ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によりデングウイルス遺伝子を検出した。RT-PCR陽性率は発病後早期に採取した検体で高く,発病後の日数と共に低下し,発病6日以後は陰性となった。一方IgM-ELISA陽性率は発病後の日数と共に増加し,RT-PCRとIgM-ELISAを併用した診断率は発病後の日数にかかわらず80%以上であった。ウイルス分離陽性の検体はRT-PCRも陽性であったが,RT-PCR陽性でもウイルス分離陰性の検体が存在した。RT-PCR陽性率と患者の臨床症状の重篤度,および血清反応から推測されるデングウイルスの一次感染・二次感染との関連性は認められなかった。DF患者ではIgM-ELISA陽転後はRT-PCRが陰性であったが,DHF患者では両者共陽性の時期が存在し,Russellらの免疫複合体によるDHFの発病機構説を支持する結果となった。 (2)マヒドン大学熱帯医学部衛生昆虫学教室で飼育中の2系統および野外から採集した1系統のネッタイシマカに,DF,DHF,デングショック症候群(DSS)から分離された2型デングウイルスを標準株と平行して経口的に感染させた。感染率はウイルスが分離された患者の臨床症状との関連性が認められなかった。 (3)昆虫幼若ホルモン類似体pyriproxyfenのネッタイシマカ幼虫に対する効果を検討した結果,1ppbで82-99%,10ppbで100%の発育阻止が認められた。Pyriproxyfen処理によって,雌成虫の産卵は多少遅延するが産卵率には影響しなかったので,雌成を用いてPyriproxyfenを産卵場所に運ベる可能性がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 江下優樹: "先進国で得た研究体験を,発展途上国での国際協力に,いかに活かすか" 衛生動物学と国際協力-財源,システム,精神の観点から-祥文社. (1993)
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[Publications] Kawata,H.,Itoh,T.,Abe,Y.: "Utilization of blood-fed female adults of Aedes aegypti as a carrier of IGR,pyriproxyfen,to the larval habitat" Journal of American Mosquito Control Association. (1993)