1992 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン中部海域におけるオウムガイの地理的変異と生息環境
Project/Area Number |
04041085
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
早坂 祥三 鹿児島大学, 学長 (20041212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
A.BATOMALAQU University of San Carlos, 生物学科長
E.C.FLORES University of the Phillippines, 教授
A.C.ALCALA Silliman University, 教授
棚部 一成 東京大学, 理学部, 教授 (20108640)
鈴木 廣志 鹿児島大学, 水産学部, 助手 (30162994)
大木 公彦 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (90041235)
四宮 明彦 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (90041722)
塚原 潤三 鹿児島大学, 理学部, 教授 (20008923)
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Keywords | オウムガイ / フィリピン / 生息環境 / DNA / 地理的変異 |
Research Abstract |
平成4年度は,7-8月にサンカルロス大学と共同で,セブ島東側のボホール海峡,特にシキホール島の北側海域とボホール島の南西海域において,オウムガイの地理的変異及びその生息環境について調査した。 音響測深器及び簡易ドレッヂを用いた海洋地質学的環境調査により,両海域とも非常に傾斜の急な海底地形を示し,かつ,幾つかの谷が陸上から続いており,底質も比較的砂質であることが明らかにされた。また,ナンセン採水器を用いた水質調査では,水深100-150mの所に水温躍層が存在し,この躍層よりも深いオウムガイの生息域と考えられる水深では,燐,窒素,珪素などが多く存在することも明らかにされた。 オウムガイ採集のために,総数22回のトラップ採集を試みたが,その捕獲数は19個体と大変少なかった。特に,シキホール島北側の海域では1個体も採集できなかった。これが局地的乱獲による生息密度の低下によるものか,もともと,低密度で生息しているのか,あるいはトラップの形状による捕獲エラーによるのかは,現在検討中である。しかしながら,フィリピン海域では今まで採集することのできなかった未熟で若い個体を,ボホール島南西海域で多数採集することができ,オウムガイの産卵孵化場を推定するのに有力な情報が得られた。また,組織学的・遺伝学的研究に必要な成熟雄雌個体も採集され,現在研究が進められている。 さらに,平成5年1月にはオウムガイ5個体を採集移送し,飼育観察およびDNA分析を実施中である。
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