1992 Fiscal Year Annual Research Report
北東アフリカにおける民族の相克と生成に関する実証的研究
Project/Area Number |
04041115
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
福井 勝義 国立民族学博物館, 第3研究部, 助教授 (60014510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗本 英世 国立民族学博物館, 第3研究部, 助手 (10192569)
出口 顕 島根大学, 法文学部, 助教授 (20172116)
稗田 乃 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90181057)
堀 信行 東京都立大学, 理学部, 助教授 (40087143)
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Keywords | 北東アフリカ / スーダン / エチオピア / 民族の生成 / 民族間関係 / 民族間の戦い / 近代国家形成下の民族 / 植民地統治下の民族 |
Research Abstract |
本調査研究の目的は、北東アフリカにおける諸民族の相克と生成に関する集約的調査を行い、その結果を体系的に比較研究していくにとによって、この地域における諸民族の相克にともなう生成の特性を、他民族との関系性のなかで浮き彫りにしていこうとするものであった。 この目的を総合的、学際的な視野から達成するため、各研究分担者は相互に関連した個別研究テーマのもとに、エチオピアとスータンにおいて調査を実施した。稗田乃は言語学的立場から、エチオピア西南部・スーダン南部に分布するナイル系諸言語の調査を行い、歴史的な民族間の交渉と接触に関する資料を得た。栗本英世は、社会人類学的視点からエチオピア西部のアニュワ人とスーダン南部のパリ人を対象に、現代における国家レベルの政策や内戦が、地域の民族集団社会や民族間関係に及ぼす影響について調査を行った。堀信行は、自然地理学的立場から、スーダン東部において、自然環境と降民族集団の主業体系、民族間関係の相互連関について、歴史的側面もふまえて調査を行った。出口顕は、スーダン南部における植民地統治が、民族集団の生成と集団間関係に与えた影響について、植民地資料と聞き取りにもとづく調査を実施した。最後に、研究代表者である福井勝義は、調査対象諸国の研究機関との調整にあたるとともに、エチオピア西南部における民族間紛争と民族集団の生成に関する社会生態学的調査を行った。 調査の成果は、現在、各研究分担者が発表・出版のためにとりまとめ中である。次年度は、本年度の成果をふまえ、調査対象鳥域を拡大して、さらに総合的な比較研究と体系化をはかる予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 栗本,英世: "辺境からみたエチオピア革命" 日本エチオピア協会会報. 28号. 1-6 (1992)
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[Publications] 栗本,英世: "サバンナの狩猟的世界〜ナイル系民族の生業再考" 季刊民族学. 63号. 110-122 (1993)
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[Publications] 出口,顕: "野生の個人名〜徴分化と反復のあいだに" 思想. 813号. 111-141 (1992)
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[Publications] 出口,顕: "エチオピア西南部ディジの社会構成〜サイ首長領の社会人類学的予備調査から" スワヒリ&アフリカ研究. 3号. 79-102 (1992)
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[Publications] 福井,勝義: "民族はたえず生成し、変容する" 『国家と民族〜なぜ人々は争うのか?』(学習研究社). 10-19 (1992)
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[Publications] 福井,勝義: "スルマ系社会における乳の利用と象徴性〜エチオピア・スーダン南部のウシ牧畜民" 『乳利用の民族誌』(中央法規出版). 87-106 (1992)
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[Publications] 稗田,乃: "A Grammatical Sketch of the Koegu Language" スワヒリ&アフリカ研究. 3号. 131-155 (1992)
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[Publications] 稗田,乃: "コエグの人と魚-環境認識の習得" 国立民族学博物館研究報告. 17巻1号. 97-119 (1992)