1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04044065
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大倉 一郎 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (90089821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西坂 剛 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (40101084)
DIETER Wohrl ブレーメン大学, 有機高分子学科, 教授
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Keywords | フタロシアニン / ポルフィリン / 光線力学療法 / 光増感剤 / ヘマトポルフィリン |
Research Abstract |
現在腫瘍親和性色素としては、ヘマトポルフィリン誘導体が有効とされている。しかしながら、ヘマトポルフィリン誘導体は多種の異性体の混合物であり、それらのうちどの成分が腫瘍感光性色素として有効に作用しているかは明かでない。また、腫瘍組織への取り込み、排出等についても不明な点が多い。また、本研究は、より効率の高い腫瘍感光性色素の開発を目的としたものである。 申請者は従来より、ポルフィリン、フタロシアニンの光増感作用に関する物理化学的基礎研究を行い、フタロシアニンが光増感剤として高い活性を有することを見いだしてきた。また、ポルフィリンオリゴマーが腫瘍感光性色素として有効であること、およびポルフィリンオリゴマーを取り込ませた腫瘍細胞にレーザー光を照射すると、腫瘍細胞が死滅することを明らかにした。本年度は新たに水に対する溶解度の異なる各種水溶性フタロシアニンの合成に成功しており、これら合成した化合物の腫瘍親和性について検討を行った。腫瘍細胞としては、HeLa細胞およびマウスに移植した固形腫瘍を用い、各種フタロシアニンのこれら腫瘍への取り込み、排出について調べた。その結果、フタロシアニンのスルホ基の数の違いが腫瘍への取り込みに大きく影響を与えることが明かとなり、これにレーザー光を照射した場合、スルホ基数の少ないほど殺細胞効果が高いことがわかった。また、光増感剤としての光励起三重項寿命の測定を行い、殺細胞用光増感剤としての機能を検討中である。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] J.Hirota,T.Takeno,I.Okura: "Preparation and characterization of bisviologen-linked porphyrin" J.Photochem.Photobiol.A,Chem.77. 29-35 (1994)
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[Publications] J.Hirota,I.Okura: "Photoinduced intramolecular electron transfer in bisviologen-linked prophyrin in acetonitrile" J.Phys.Chem.97. 6867-6870 (1993)
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[Publications] S.Aono,T.Kamachi,I.Okura: "Membrane-bound hydrogenase from a Thermophilic hydrogen oxidizing bacterium,Bacillus schlegelii" Biosci,Biotech.Biochem.57. 1177-1179 (1993)
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[Publications] 大倉一郎: "金属ポルフィリンの光増感作用-太陽エネルギーの化学エネルギーへの変換を中心にして" ファルマシア. 29. 376-379 (1993)
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[Publications] 西坂剛、円入寛子、竹野哲、大倉一郎: "メチレンブルーを光増感剤とする光化学療法に関する研究" 日本化学会誌. 867-873 (1993)
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[Publications] 竹野哲,西坂剛,大倉一郎: "亜鉛スルホフタロシアニンを利用した光化学治療" 日本レーザー医学会誌. 14. 15-20 (1993)
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[Publications] 大倉一郎(分担): "実験化学講座" 丸善, 523 (1993)
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[Publications] 大倉一郎(分担): "化学ハンドブック" 朝倉書店, 1031 (1993)
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[Publications] 大倉一郎 他: "触媒技術の動向と展望" 触媒学会, 562 (1993)