1992 Fiscal Year Annual Research Report
超低エネルギー中性子吸収反応における空間時間反転の研究
Project/Area Number |
04044082
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
S Seestrom ロスアラモス国立研究所, 研究員
D Bowman ロスアラモス国立研究所, 主任研究員
清水 裕彦 高エネルギー研, 助手 (50249900)
高橋 義朗 京都大学, 理学部, 助手 (40226907)
延與 秀人 京都大学, 理学部, 助手 (30213606)
今井 憲一 京都大学, 理学部, 助教授 (70025493)
藪崎 努 京都大学, 理学部, 教授 (60026127)
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Keywords | 熱外中性子 / 中性子捕獲反応 / 空間反転 / 時間反転 / 偏極フィルター / 捕獲γ線 |
Research Abstract |
ある特定の原子核のp-波共鳴においてのみ、空間反転の非対称性が増幅されて見えることが高エネルギー研において発見された。特にLa核等が中性子を吸収した場合のp-波共鳴の吸収断面積に10%のヘリシティー非対称性が見出され、空間反転の破れが通常の約10^6倍増幅されていることが分った。そこでこの研究では、中性子強度の強いロスアラモスの中性子源を用いて捕獲γ線の測定を行い、空間反転の破れのメカニズムを解明しようと試みている。 本年度はまず、中性子偏極用偏極フィルターの建設を行い、ほぼ完成させた。また分解能のよいγ線カウンターの建設を行い、それを用いた中性子捕獲γ線の測定を行った。これはBGOシンチレーターを用いて種々の核ターゲットで発生するγ線をとらえ、exitchannelにおける空間反転の破れを測定するものである。まず、このための2次元読み出し装置を完成させ、入射中性子のエネルギーと放出γ線のエネルギーを同時に精度よく測定することが可能となった。これを用いてはじめて^<139>La,^<113>Cd,^<111>Cdに低速中性子をあてたときに発生するγ線をそれぞれのレベルに分けて測定することが出来た。この実験は目下、ロスアラモス及び高エネルギー研の両方で進めており、この双方の解析を組み合わせることによって、核反応における弱い相互作用のマトリックス・エレメントを決定する試みを行っている。この実験によって、空間反転の破れの増幅が1つのs波共鳴とその近くにあるp波共鳴の干渉によってひきおこされるという描像で説明出来ると考えられるようになりつつある。更に重い核に中性子をあてた時の透過中性子のヘリシティー依存性の測定を液体シンチレーターによって行い、中重核の場合と重い核の場合の違いを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 清水 裕彦: "Longitudinal Asymmetry and γ-ray Angular Distribution in Neutron Radiative Capture Reactions" KEK Preprint Submitted to Nucl.Phys.A.92-52. 1-25 (1992)
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[Publications] 政池 明: "Capture γ-ray Measurement Using VME Data Acquisition System(LAMPF1992)" TRIPLE-Collaboration. 1-16 (1993)
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[Publications] H.SATO: "Polarized ^3He System for T-and P-Violation Neutron Experiments" KEK Preprint Submitted to the Riken International Symposium on “Unstable Nuclei and Particles as Probes in Physics and Chemistry",Wako,Saitama,Japan,August 31-September 2,1992.(to be published in Hyperfine Interactions). 92-125. 1-7 (1992)
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[Publications] K.SAKAI: "Neutron Spin Rotation and P-Violation" KEK Preprint Submitted to the Riken International Symposium on “Unstable Nuclei and Particles as Probes in Physics and Chemistry",Wako,Saitama,Japan,August 31-September 2,1992.(to be published in Hyperfine Interactions). 92-126. 1-6 (1992)
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[Publications] Y.MASUDA: "Neutron Polarization for P-and T-Violation Experiments" KEK Preprint Submitted to the Riken International Symposium on “Unstable Nuclei and Particles as Probes in Physics and Chemistry",Wako,Saitama,Japan,August 31-September 2,1992.(to be published in Hyperfine Interactions). 92-124. 1-8 (1992)