1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04044109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
油谷 克英 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90089889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRIVALOV Pet ジョーンズ, ポプキンス大学・生物カロリメーターセンター, 教授
上平 初穂 通産省, 生命工学工業技術研究所, 室長
杉野 義信 関西医科大学, 教養部, 教授 (00028177)
平賀 香 大阪大学, 蛋白質研究所, 日本学術振興会特別研
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Keywords | 熱安定性 / 好熱菌 / ヒト・リゾチーム / トリプトファン合成酵素 / 蛋白質の変性 / 疎水性相互作用 |
Research Abstract |
表記研究課題に関して、今年度得られた結果の内、特徴的なものを列挙する。(1)蛋白質の安定化に果たす疎水性残基の役割を系統的に調べるため、ヒト・リゾチームのイソロイシン(5箇所)を各々バリンに置換した変異型を作製し、それら5種の変異型の安定性を示差走査熱量計(DASM4)で、構造変化をCDスペクトルとX線結晶構造解析から明らかにした。これらの変異型はいずれも分子内部の一つのメチレン基の除去であったが、変性温度(pH2.7)は1.4から3.7℃の範囲に減少、変性のエンタルピー変化(64.9℃)は5.4から13.1kcal/molの範囲に減少で、それらはエントロピー変化によって大きく相殺されている。X線結晶解析の結果もメチレン基の除去によって出来た空洞に水分子の導入されたもの、又、空洞の大きさも色々であった。変性の熱力学的パラメータの変化の大きさは、構造の変化から類推できる大きさより多くの場合異常に優っている。このことは、1.8Aの分解能でも判断できない程度に、置換の影響が分子全般に及んでおり、それが安定性のパラメーターを大きく変化させているのではないかと思われる(これは新しい見方である)。(2)トリプトファン合成酵素αサブユニットの分子内部のシステイ残基(3個)の安定化への役割を明らかにするために、セリン、アラニン、またはバリン変異型について、構造変化(CDスペクトル)と安定性(熱測定)を比較した。上記のヒト・リゾチームの結果と同様にまたはそれ以上に一残基の置換が変性の熱力学的パラメータに異常に顕著な影響をもたらした。これらはリゾチームの結果ともども新しい発見でその原因を解明する必要がある。(3)超高度好熱菌蛋白質の熱安定性化を解明するために、Pyrococcusfuriosusのα-アミラーゼの熱変性とGuHClに対する安定性を調べた。いずれの変性も不可逆であったが、グリセリンの存在下で部分的に復元することを見いだした。
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[Publications] K.Ogasahara,E.Matsushita,&K.Yutani: "Further Examination of the Intermediate States in the Denaturation of the Tryptophan Synthase α Subunit:Evidence that the Equiliburium Denaturation Intermediate is a molten Globule." J.Mol.Biol.234. 1197-1206 (1993)
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[Publications] K.Ogasahara & K.Yutani: "Unfolding-refolding kinetics of the tryptophan synthase α subunit by the CD and fluorescence measurements." J.Mol.Biol.235(in press). (1994)
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[Publications] M.Odaka,et al.: "Parrael effects of Tyr-341 mutations of the TF1-ATPase β subunit on the Kd of the Isolated β subunit" J.Biochem.(in press). (1994)