Research Abstract |
エレズミア島でのアイスコア採集(新しいコア採取器-コペンハーゲン大学の設計を一部改良)は,順調に作動し,30mのコア採取予定の2倍(60m-約200年間)のアイスコアが得られた。気温は,通常より低い-40℃を記録したこともあったが,全員(それとアイスコアサンプルも)オタワに無事帰ることが出来た。一昨年,昨年の様に太陽嵐も強くなく,オタワとの交信も上々で,喜ばしいことである。 アイスコアで最も重要なことは,各氷層の年代(古さ)を正確に決定することである。本研究では,以下,4つの方法が使われ,年代決定がなされている。(1)熟練した目で,毎年の融けて(夏の7月),固い氷となっている層を見つける方法(0〜20年の古さまで。)(2)酸素の同位元素(O-16とO-18)の降雪中の季節変化で決定する方法(北極では,降雪量が24cm/年と少ないため,0〜100年の古さまで,)。(3)過去の大きな火山爆発による酸性雨{pHとElectrical Conductivity Measurement(ECM)}の強さで決定(ローマ時代までの記緑が使われるので0〜2000年)。(4)人工放射能(1945年まで)と自然放射能の減衰曲線から(5〜200,000年)。 アイスコアには,天然の汚染物質{ホコリ(例えば黄砂や海洋性塩類),隕石落下,それに花粉}の他,人工的な汚染物質がある。ホコリの中にも結晶状のものと,ガラス化したものがある。本研究では,大型電子顕微鏡(2.4分解能)と,X-線回折でホコリ(Aerosols)を,又,マイクロ分析で,花粉を分析する準備が出来,サンプルの処理を始めている。この中で,本研究は,世界でも最初と考えられる花粉1個(直径約10μm)成分分折に,本年11月,フランスのガレック博士が成功した。
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