光合成細菌色素蛋白複合体のカロテノイドの構造と光物性

1992 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04044154
• Research Institution: Kwansei Gakuin University
• Principal Investigator: 小山 泰 関西学院大学, 理学部, 教授 (90079666)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): RICHARD J Co グラスゴー大学, 植物学教室, 教授
• Keywords: 光合成 / カロテノイド / 励起状態 / エネルギー伝達 / アンテナ複合体 / ラマン分光 / ケイ光分光 / 電子吸収分光

Research Abstract

1.Chromatium purpuratum BN5500株のLH2アンテナ複合体のピコ秒ラマン分光:527nmのポンプ光,588nmのプローブ光(パルス幅70ps)を用いて,アンテナ複合体に結合したオケノンのラマンスペクトルを測定した。S_1状態は検出されず,これはオケノンからバクテリオクロロフィルへの極めて効率のよいエネルギー移動を示している。代りにT_1状態が検出された。これは2つ以上のオケノン分子が近接して存在し,一重項融合によりT_1状態が生成していることを意味している。
2.Rhodobacter sphaeroides 2.4.1のLH2アンテナ複合体に結合したスフェロイデンの170Kでのケイ光分光:LH2に結合したスフェロイデンの4種類の一重項レベルのエネルギーを始めて正確に決定した。レベルI(2^1Ag^-),II(^1Bu^-),III(^1Bu^+)およびIV(3^1Ag^-)のエネルギーは,それぞれ,14500,18300,19200,そして23200cm^<-1>であった。また,レベルIV→レベルIの効率のよい内部変換,レベルII→レベルIのより効率の低い内部変換を見出した。この結果をもとに、カロテノイドからバクテリオクロロフィルへのエネルギー移動を議論した。
3.スフェロイデンの非極性・極性溶媒中での^1Ag^-→^1Bu^+吸収帯と^1Ag^-および2^1Ag^-状態のC=C伸縮振動に対する溶媒効果と,LH2複合体中でスフェロイデンの置かれた環境:スフェロイデンの^1Ag^-→^1Bu^+遷移のエネルギーは,非極性・極性溶媒中でR(n)=(n^2-1)/(n^2+2)に対直線関係を示すが,後者の直線は前者の直線より傾きがゆるやかで,R(n)=0.3で交わる。これを極性溶媒のゆらぎによって生じる電場で説明した。^1Ag^-→^1Bu^+吸収帯とC=C伸縮振動の結果とを合わせて,スフェロイデンが非極性高分極率という環境に置かれていると結論した。

Research Products

• [Publications] Richard J.Cogdell: "Picosecond Raman spectroscopy of the B830 LH2 complex of Chromatium purpuratum BN5500" Photosyuthesis Research. 35. 79-85 (1993)
• [Publications] Yasushi Koyama: "Lowalying electronic levels of ophemoidene bowal to the light-havestiong(LH2)complex of Rhodobacter sphaeroides 2.4.1 as determined by fluorescence and fluorescence-excitation spectroscopy at 170K" Chem.Phup.Leit.
• [Publications] Michtaka Kuki: "Solvent effects on spheroidene in nsn-polan and polan eolutims and the enviranment of spheroidene in the light-harvesting complexes of Rhodobacter sphaeroides 2.4.1 as detected by ^1Ag^-→^1Bu^+absoptim and vibronically-coupled C=C stretching vibratims in the ^1Ag^-and 2^1Ag^-atates" Photochemistry and Photobiology.