1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04101002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 敏光 東京大学, 原子核研究所, 教授 (80011500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 泰男 東京大学, 原子力総合センター, 助教授 (40011150)
森田 紀夫 岡崎国立共同研究機構分子科学研究所, 助教授 (30134654)
早野 龍五 東京大学, 理学部, 助教授 (30126148)
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Keywords | 反陽子消滅 / 反陽子原子 / ヘリウム / ハドロン原子 |
Research Abstract |
本年度は異常長寿命反陽子ヘリウム原子の生成-消滅に関し多角的に研究するため、各種ヘリウム媒質をもつターゲットシェルを作製し、CERNのLEARからの低速反陽子ビームを用いて実験研究を行なった。 1.高圧ガスヘリウム媒質:30気圧まで耐えるターゲットチェンバーを作り、高純度のヘリウムを封入した。不純物の発生混入をさけるため容器は窓も含めステンレススチールでつくり、長時間ベークした。反陽子の消滅時間スペクトルは予想に反し液体ヘリウムの場合とほぼ同じであった。 2.低温ヘリウムガス:10K領象に冷却したヘリウムガスはもっとも長い寿命を示すことが判明した。不純物との衝突など二次効果のもっとも少ない媒質と考えられる。 3.固体ヘリウム、液体ヘリウム:この実験のために新たに低温の固体ヘリウムターゲットが開発された。この容器はそのまま高圧の液体ターゲットでもある。反陽子消滅率はヘリウム密度の増加とともにゆるやかに増加し、固相・液相の相転移には依在しないことが判明した。 4.他の原子を含むヘリウムガス:Ne、Ar、Kr、Xeのガスを混入し反陽子時間スペクトルの変化を測定し、系統的なデータが得られた。 5.他の分子を含むヘリウムガス:水素、窒素、酸素などの分子状不純物は微量混入しただけで消滅時間に大きな変化を及ぼすことが判明した。 これらの成果は学術論文として、またいくつかの国際会議において発表された。来年度のレーザー分光実験のため、分光法の研究、レーザー装置の開発を行った。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] T.Yamazaki and K.Ohtsuki: "Atomic Core Polarization Effects in Metastable Hadronic Helium Atoms" Phys.Rev.A45. 7782 (1992)
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[Publications] T.Yamazaki: "Exotic States of Hadronic Atoms" Nucl.Phys.(1993)
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[Publications] Y.Ito,E.Widmann and T.Yamazaki: "Possible Formation of Antihydrogen via Metastable Antiprotonic Helium Atoms and Positrons/Positronium" Hyperfine Interactions. (1993)
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[Publications] T.Yamazaki: "Anomalously Long-Lived Antiprotonic Helium Atoms" AIP Proceedings. (1993)
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[Publications] T.Yamazaki et al.: "Formation of Long-Lived Gas-Phase Antiprotonic Helium Atoms and Quenching by H_2" Nature. 361. 238 (1993)
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[Publications] T.Yamazaki: "Antiproton Trapping in Various Helium Media:Report of the Heliumtrap Experiment at Lear" Nucl.Phys.(1993)
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[Publications] N.Morita,K.Ohtsuki and T.Yamazaki: "Laser Spectroscopy of Metastable Antiprotonic Helium Atomcules" Nucl.Instr.Meth.(1993)
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[Publications] 山崎 敏光: "異常長寿命反陽子" 日本物理学会誌. 47. 470 (1992)
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[Publications] R.S.Hayano and T.Yamazaki: "Perspectives of Meson Science Ch.13" North Holland(Amsterdam), 24 (1992)
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[Publications] R.S.Hayano,M.Iwasaki and T.Yamazaki: "Perspectives of Meson Science Ch.17" North Holland(Amsterdam), 28 (1992)