1992 Fiscal Year Annual Research Report
光ソリトンの振舞とその超長距離超高速通信への応用に関する研究
Project/Area Number |
04102003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷川 晃 大阪大学, 工学部, 教授 (60240834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 裕之 大阪大学, 工学部, 助手 (00202200)
松本 正行 大阪大学, 工学部, 講師 (10181786)
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Keywords | ソリトン / 光通信 / 非線形光学 |
Research Abstract |
1.波長分割多重通信におけるソリトン同士の衝突とその影響の低減 光ソリトンが入力端で重ね合わされたり増幅器のなかで衝突したりすると線形的に重畳されることになり,非線形波動であるソリトンは擾乱を受けて中心周波数や位置が変化する。ソリトンを用いる波長分割多重通信では,このような衝突の影響を低減することは極めて重要なテーマになる。我々は,各チャンネルの搬送波長にピークを持つ狭帯域フイルタの使用,および隣接チャンネルソリトンの偏光面を互いに垂直にすることで衝突効果を低減する方法を試み,数値シミュレーションによりこれが可能であることを示した。 2.周期的フイルタによるソリトンの不安定性 伝送路に狭帯域フイルタを挿入することでソリトン速度と振幅を安定化させ,光増幅器の雑音による影響を回避できる。しかしながら,ソリトンがこのフイルタを何度も通過するとソリトンが不安定となることが数値シミュレーションの結果わかった。これはソリトンがフィルタを通過する時に分散波が発生し,伝送系の過剰利得でその振幅が指数関数的に増大するからである。幸いこの問題は3で示すソリトンと雑音が分離する性質を用いることにより解決できる。 3.ソリトン通信における信号と雑音の分離 ソリトン通信システムでは,ソリトンが線形波動と異なった速度で伝搬するか,あるいはこれを可能にできるため,同じ周波数帯に混在する雑音を除去できる。例えばファイバ中のラマン効果のため,ソリトンの速度は振幅の4乗と伝搬距離に比例して減少するが,雑音を構成する線形波動はこの効果を受けない。この結果,混在する雑音はソリトンの伝搬と共に時間的に分離する。またこのことを用いると,フイルタを周期的に通過させたときのソリトンに発生する不安定性を除去することができる。 4.MQW半導体変調器を用いた光ソリトンパルスの発生 DFBレーザ連続出力光を吸収型半導体光変調器で振幅変調を行うと,光パルス列が生成できる。変調器にMQW半導体変調器を用いた場合,変調出力波形は理想的なソリトン波型であるsech^2からずれているが,適切に設計したフイルタを伝送路に挿入することにより,安定にソリトンが伝搬することを示した。また実験で1Gbit/sのフーリエ変換限界に近い光パルス列を発生した。
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[Publications] A.Hasegawa: "Eigenvalue communication" IEEE Trans.Communications. (1993)
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[Publications] M.Matsumoto: "Nunerical study of reduction of instavility in bandwidth-limited-amplified soliton transmission" Opt.Lett. (1993)
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[Publications] A.Hasegawa: "Optical solitons in fibers;theoretical review" Optical Solitons-Theory and Experiment,Cambridge University Press. 29 (1992)