1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04151042
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
日野 茂男 鳥取大学, 医学部, 教授 (70012763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相良 祐輔 高知医科大学, 教授 (40033295)
永田 行博 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30038806)
一條 元彦 奈良県立医科大学, 教授 (30004823)
片峰 茂 長崎大学, 医学部, 助教授 (40161062)
辻 芳郎 長崎大学, 医学部, 教授 (30039812)
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Keywords | ATL / HTLV-1 / 母子感染 / 母乳感染 / 子宮内感染 / PCR |
Research Abstract |
ヒトに腫瘍原性を持つ最初のレトロウイルスHTLV-1は先進国の中では日本を唯一の流行地とする.キャリア母親が母乳哺育をやめれば,地域内流行の主役である母子感染の大部分は回避でき,流行地での母子感染率は20%から30%程度に低下することがわかったきた.母乳以外の感染は全母子感染の1/5〜1/10程度を占めると推定されるが,その感染経路については未だ決着がついていない. 一條らは,キャリア妊婦から出産した児の臍帯血のPCRを行い,約7%にHTLV-1遺伝子を認めることから,第2の母子感染経路として,子宮内感染の可能性を示唆した.本年度日野らは,1分子DNAを検出できるPCRを使って,臍帯血の約3%にHTLV-1感染細胞が存在することを確認した.しかしながら,臍帯血の感染細胞が陽性であった少数の児は追跡調査でも抗体が陽転せず,逆に生後1年の時点で抗体が陽性であり,キャリア化したと判断される少数例小児の臍帯血はすべて感染細胞陰性であったことから,第2の母子感染経路は子宮内感染ではなく,周産期感染・産後感染に求めた.これらの研究は,キャリア妊婦が5%の地域を対象としても,出産児全体に占める割合は0.02%程度であり,持続的な研究を必要とする. 永田らは1991年に短期母乳哺育による感染率の低下を提唱し、研究を続けている.短期間の母乳哺育を行っても,感染の頻度が上昇しないならば,母子感染の介入遮断をより容易に行うことができる.日野,一條らのフィールドはすでに母乳哺育断念を原則として組織されており,短期母乳哺育の効果を正しく評価できるのは永田らのフィールドである.
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[Publications] Kawase,K.: "Maternal transmission of HTLV-1 other than breast milk:detection of proviral DNA by polymerase chain reaction in the cord blood not indicative of intrauterine infection." Jpn.J.Cancer Res.83. 968-977 (1992)
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[Publications] Nomata,K.: "Novel members of complications with HTLV-1-associated myelopathy/torpical spastic paraparesis:interstitial cystitis and persisitent prostatitis" Jpn.J.Cancer Res.83. 601-608 (1992)
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[Publications] Oki,T.: "A sero-epidemiological study on mother-to-child transmission of HTLV-1 in southern Kyushu,Japan" Asia-Oceania J.Obstet.Gynecol.18. 371-377 (1992)
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[Publications] Fujino,T.: "HTLV-1 transmission from mother to fetus via placenta" Lancet. 340. 1157-1157 (1992)
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[Publications] 日野 茂男: "成人T細胞白血病(ATL)とウイルス(1)HTLV-1の疫学" Lab.Friends. 23. 31-36 (1992)
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[Publications] 日野 茂男: "成人T細胞白血病(ATL)とウイルス(2)HTLV-1の臨床" Lab.Friends. 23. 90-95 (1992)
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[Publications] 日野 茂男: "成人T細胞白血病(ATL)とウイルス(3)HTLV-1の抗体検査" Lab.Friends. 23. 158-165 (1992)
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[Publications] 日野 茂男: "成人T細胞白血病(ATL)とウイルス(4)HTLV-1キャリアのウイルス遺伝子診断" Lab.Friends. 23. 233-241 (1992)
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[Publications] 日野 茂男: "HTLV-1の母子感染" 感染,炎症,免疫. 22. 26-27 (1992)
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[Publications] 日野 茂男: "ATLの予防,HTLV-1母子感染予防対策の経緯と現状" 感染,炎症,免疫. 22. 160-168 (1992)
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[Publications] 日野 茂男: "HTLV-1母子感染の研究経過と問題点" 臨床とウイルス. 20. 378-382 (1992)
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[Publications] 古木 和彦: "Polymerase chain reaction(PCR)法によるHTLV-I母児感染についての検討 1.PCR法によるHTLV-I proviral DNA検出法の確立" 日本産婦人科新生児血液学会誌. 1,2. 23-30 (1992)
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[Publications] 古木 和彦: "Polymerase chain reaction(PCR)法によるHTLV-I母児感染についての検討 II.HTLV-I垂直感染の成起と対策" 日本産婦人科新生児血液学会誌. 1,2. 31-38 (1992)
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[Publications] 一條 元彦: "ATLと母児感染" 産科と婦人科. 59. 997-1002 (1992)
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[Publications] 永田 行博: "HTLV-1の母児感染とその予防" 産婦人科の実際. 41. 609-613 (1992)
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[Publications] Hino,S.: "Gann Monogr.Cancer Res." Tokyo Univ.Press, 261 (1992)
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[Publications] Saito,S.: "Gann Monogr.Cancer Res." Tokyo Univ.Press, 261 (1992)
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[Publications] Hino,S.: "Seminar on Blood Transmitted Dseases:Special reference to AIDS,ATL and hepatitis.Kumamoto National Hospital Medical training centre." Kumamoto National Hospital,Japan International Cooperation Agency,and Agency for cooperation in international Research, 123 (1992)