1992 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子破壊法によるインターフェロンの癌抑制機能の解析
Project/Area Number |
04152036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩倉 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10089120)
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Keywords | インターフェロン / トランスジェニックマウス / 癌 / 癌抑制遺伝子 / 遺伝子標的法 / 遺伝子相同組換え / ES細胞 |
Research Abstract |
メタロチオネイン遺伝子の制御領域に結合したマウスβ型及びγ型インターフェロン遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製し、これらのマウスに於いてカドミウムを投与することにより、主として肝臓に於て導入したインターフェロン遺伝子の発現が誘導でき、血中のインターフェロン力価が1-2万IU/mlに達することを既に報告している。カドミウムを投与しない状態では、肝臓でインターフェロンmRNAは検出されず血中のインターフェロン力価も2IU/mlと検出限界以下であったが、インターフェロンによって誘導される2,5-A合成酵素の活性はコントロールマウスより3-5倍程度高く、ごく微量のインターフェロンが合成されていることが示唆された。これらのマウスに於いては肝癌の発症率が有意に低く(4/40vs.18/43)、またリンパ腫の発症率も低下していた。これらの所見から低濃度のインターフェロンによって発癌が抑制されることが示唆された。 インターフェロンの発癌抑制能を確かめるためにインターフェロン遺伝子の破壊を試みた。Capecchiらの方法に従いES細胞(E14(Hooper et al.)及びA3(Toyota et al.))のβ型及びγ型インターフェロン遺伝子の破壊を行い、相同遺伝子組換えによりエクソン中にネオ耐性遺伝子が挿入されたクローンをそれぞれ6株及び2株得た。これらの細胞を胚盤胞に注入し、キメラを作製し、かなりES細胞の寄与率の高いものが得られている。現在子孫への遺伝を検討しているが、これに先立って行った遺伝子を導入していないES細胞でのキメラ作製実験では生殖系列細胞への分布を確認している。
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[Publications] Hayashi,T.: "RNA packaging signal of human immunodeficiency virus type I." Virology. 188. 590-599 (1992)
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[Publications] Iwakura,Y.: "Human immunodeficiency virus type 1 induces cataract in transgenic mice." AIDS. 6. 1069-1075 (1992)
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[Publications] Iwakura,Y.: "Suppression of tumor development in mice transgenic for mouse interferon-beta gene." J.Interferon Res.12. S67 (1992)
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[Publications] Karaki,S.: "Lack of production of antibody specific for HLA-C antigens in HLA-B51 transgenic mice." Immunogenetics. 37. 139-142 (1993)
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[Publications] Iwakura,Y.: "Transgenic mice carrying interferon genes." Mol.Reprod.Develop.,in press.
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[Publications] Iwakura,Y.: "RNA Tumor Viruses" Cold Spring Harbor Laboratory(New York), 302 (1922)