1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内pH調節異常による細胞のがん化と遺伝子発現異常の分子機構
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04152082
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金沢 浩 岡山大学, 工学部, 教授 (50116448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 順詞 岡山大学, 工学部, 助手 (20219603)
能見 貴人 岡山大学, 工学部, 助教授 (90189374)
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Keywords | 細胞がん化 / がん遺伝子 / Na / Hアンチポーター / 遺伝子発現制御 / pH調節 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
本年度は研究課題の展開にあたり基礎となる次の3つの研究を行った。 1)細胞内pH異常による細胞がん化と遺伝子発現調節の関係を解析するモデル系の確立:細胞がん化にともない発現誘導されるラットのストロメリシン遺伝子のプロモーター領域の発現調節に与るシスおよびトランス因子を解析した。この結果、-100および-128領域に新たなシス因子を見い出した。-100領域には、ラット繊維芽細胞由来の32Kdの、またトランスフォームした細胞由来では60Kdのトランス因子が結合することが明かとなった。種々の解析から、両タンパク質は同一の構造を持つが、トランスフォーメーションにより一部構造変化がおこり見かけの分子量が変化するものである事が明かとなった。スプライシングの変化の可能性が高い。 2)大腸菌Na/Hアンチポーター遺伝子の動物細胞での発現系の確立:大腸菌のNa/Hアンチポーター遺伝子はイニシエーションコドンがGTGであったので、部位特異的変異法でATGに換えた遺伝子を作製し、MMTVのLTRをプロモーターとする発現ベクターを構築した。現在、ラットの繊維芽細胞に導入して細胞の増殖とトランスフォーメーションについて解析中である。 3)Na/Hアンチポーター遺伝子のクローニングと抗体の作製:酵母菌に遺伝子バンクを導入して、アルカリ耐性株を分離した。この中から現在Na/Hアンチポーター遺伝子クローンをもつ候補1株を得て解析中である。また、ラットのアンチポーターの遺伝子(NHEI、およびNHE3)のタンパク質を大腸菌で産生し、現在抗体を調製中である。
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[Publications] 藤原 正範,能見 貴人,井上 裕介,西村 昌子,原 芳和,金沢 浩: "活性化H-rasによるラット・ストロメリシン遺伝子の発現誘導とその転写調節領域の解析" 生化学. 64. 981 (1992)
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[Publications] 井上 弘樹,能見 貴人,下村 哲也,土屋 友房,金沢 浩: "大腸菌Na^+/H^+アンチポーター活性の上昇とこれに伴うpH依存性の増殖抑制の解析" 生化学. 64. 886 (1992)
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[Publications] 能見 貴人,金沢 浩: "活性化H-rasによるストロメリシン遺伝子の発現誘導に関与する転写活性化および抑制因子の解析" Japanese Journal of Cancer Reseach Proceedings of the Japanese Cancer Association. 117 (1992)