1992 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤開発を志向する新規なポリオキシ高級脂肪酸エステルの合成研究
Project/Area Number |
04152085
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長尾 善光 徳島大学, 薬学部, 教授 (40027074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 茂樹 徳島大学, 薬学部, 助手 (20226038)
木原 勝 徳島大学, 薬学部, 助教授 (80035550)
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Keywords | 抗癌剤 / 高級脂肪酸 / カンプトテシン / ホドフィロトキシン / ジヒドロフラノン / ピロリジン / 多剤耐性 |
Research Abstract |
我々は、独自に得たカンプトテシンのC20位水酸基並びにポドフィーロトキシンのC4位水酸基の各種高級脂肪酸エステルと抗癌活性との構造活性相関を基盤とし、さらに炭素鎖の長さについて検討を加えるため、クロトン酸エステル並びにそのジヒドロキシ体を合成した。ポドフィロトキシンについては、独自の光学活性触媒存在下における下斉ヒドロキシ化反応により立体選択的にジヒドロキシクロトン酸エステルを合成した。得られた化合物についてP388担癌マウスでの延命効果を検討したところ、カンプトテシンのジヒドロキシクロトン酸エステルに抗癌活性(T/C=215%、100mg/kg)が認められた。 次に、カンプトテシン及びポドフィロトキシンの部分構造の立体化学に近似なC5-キラルジヒドロフラノン及びC3-キラルジヒドロフラノン、C2-キラルピロリジンを母核とする各種高級不飽和脂肪酸エステルあるいはアミド誘導体、並びにそれらのポリヒドロキシ体を合成した。得られた化合物についてP388担癌マウスでの延命交果を検討したところ、抗癌活性は示さなかった。しかしながら、P388アドリアマイシン耐性細胞を用い、アドリアマイシンとの併用効果を検討した結果、一部の化合物において相乗的な併用効果が認められた。顕著な併用効果を示したC2-キラルピロリジンのポリヒドロキシ高級脂肪酸アミド誘導体は、ミトザントロンやビンブラスチンとの間にも併用効果が認められ、耐性機構の異なるL1210シスプラチン耐性細胞を用いた場合にもアドリアマイシンとの相乗的な併用効果を示した。従って、これらの化合物は、単に膜の流動性を高め抗癌剤の細胞内流入を増加させることによるのではなく、アドリアマイシン等の有する細胞増殖抑制活性に相補的な機作により抗癌活性を増強していることが示唆された。得られた知見は、多剤耐性克服という観点から非常に興味深い。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Nagao: "Characterization of the Sulfonic Esters Adopting a Folded Conformation with Stacked Aromatic Moieties" Chemistry Letters. 915-918 (1992)
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[Publications] Y.Nagao: "Different Mechanisms of Action of Long Chain Fatty Acid Esters of Podophyllotoxin and Esters of Epipodophyllotoxin against P388 Lymphocytic Leukemia in Mice" Medicinal Chemistry Research. 1. 295-299 (1991)