1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトDNAミスマッチ修復機構の解明とその発がんへの関与
Project/Area Number |
04152120
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
岡崎 太郎 日本医科大学, 医学部, 教授 (30060354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池島 三与子 日本医科大学, 医学部, 講師 (30246938)
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Keywords | DNAミスマッチ修復 / 葉酸脱水素酵素 / ゲルシフト法 / DNA修復遺伝子 / DNA修復蛋白質 |
Research Abstract |
ヒト葉酸脱水素酵素遺伝子の89塩基上流に存在するDNAミスマッチ修復蛋白質1(MRP1)遺伝子は、大腸菌のDNAミスマッチ修復遺伝子であるMutSとの相同性が高く、ミスマッチ部位を認識して、DNAミスマッチ修復の開始段階に必須な蛋白質をコードすると考えられる。今年度はMRP1蛋白質の精製とDNA結合特異性測定法の開発を行なった。 精製過程におけるMRP1蛋白質の測定は、MRP1蛋白質のC末側29%とプロテインAとの融合蛋白質に対する抗体を用いたイムノブロットで行なった。メソトリキセート耐性HL-60細胞抽出液からヘパリン-セファロース、及びハイドロキシルアパタイトカラムクロマトグラフィーにより部分精製できた。バキュロウイルス発現系により大量に発現したところ、MRP1蛋白質は不溶性であったが、尿素、塩酸グアニジンにより可溶化できた。さらに、MRP1蛋白質C末側27%とマルトース結合蛋白質の融合蛋白質を大腸菌で発現すると、可溶性蛋白質として大量に発現された。現在、MRP1蛋白質の全域を発現する系を作製中である。 MRP1蛋白質のDNA結合特異性を検討するために、二本鎖オリゴヌクレオチドを用いたゲルシフト法を開発した。メソトリキセート耐性HL-60細胞の抽出液とミスマッチを含む二本鎖オリゴヌクレオチドをインキュベートすると、DNAミスマッチに依存した遅れたバンドが見られた。 当教室において遺伝子の単離されたMRP1蛋白質の研究は、分子レベルでの機構が解かっていないヒトDNAミスマッチ修復機構の解明のための有力な出発材料になると思われる。今後もMRP1蛋白質の精製とDNA結合の特異性の解析を続け、MRP1蛋白質の性状を明らかにし、ヒトDNAミスマッチ修復機構を解明したい。
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