1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトチトクロームP-450遺伝子の多型と発癌剤代謝,発癌との関係
Project/Area Number |
04152137
|
Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
川尻 要 埼玉県立がんセンター, 研究所生化学部, 副部長 (50142112)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 潤子 埼玉県立がんセンター, 研究所生化学部, 研究員 (60167137)
林 慎一 埼玉県立がんセンター, 研究所生化学部, 研究員 (60144862)
|
Keywords | CYP1A1 / GST1 / 遺伝子多型 / 発癌感受性 / 肺癌 / 喫煙 / CYP2E1 / 転写 |
Research Abstract |
1.CYP1A1には2種類の一次構造の異なったタンパクがヒト集団内において存在しており、Va1型はベンズピレンに対する活性化能が高く、Ile型にくらべ約3倍ほど喫煙由来の肺癌発生に高いリスクをもっていることを既に明らかにした。一方、1A1により生じた活性型メタボライトはPhaseIIの酵素でありMu型のグルタチオントランスフェラーゼの一種であるGST1により解毒されるが、一般集団においては約50%の人がこの遺伝子の一部欠損(変異)のため解毒能が低い。そこで、GST1遺伝子の遺伝子型を判定し、1A1の遺伝子多型と組合わせることによって発癌へのリスクを検討した。GST1が欠損している遺伝子型をホモに有する人は、ヘテロ又は正常な遺伝子をホモに有する遺伝子型をもつ人にくらべ単独で約1.7倍のリスクをもつ。ところが、1A1がVal型でGST1が欠損している遺伝子型を同時にホモに有する人は、Ile型でGST1が存在している人にくらべ、Kreyberg I型の肺癌へ約6.5倍、特に扁平上皮癌には7.3倍ものと高いリスクをもつことが示された。このリスクはsynergisticに増加することにより、各々の遺伝的危険因子がetiologicalに関連していることが示唆された。Val型でGST1を欠損している遺伝子を同時にホモに有する高いリスクがみられることは、発癌剤代謝の活性化と解毒化のバランスがくずれることに起因していると考えられる。今後、環境因子(喫煙量)との相互作用をcombined genotypesとの視点で解析する必要がある。 2.CYP2E1遺伝子の5'上流域の多型が転写活性に影響を与えることが明らかになった。今後このような遺伝子型による転写活性の差がmRNAの含量ひいてはタンパクの個人差にまで反映されるかを検討する必要があるかと思われる。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Hayashi,S.-I.et al.: "High susceptibility to lung cancer analyzed in terms of combined genotypes of p450IA1 and Mu-class glutathione s-transferase genes." Jpn.J.Cancer Res.,. 83. 866-870 (1992)
-
[Publications] Kawajiri,K.et al.: "The CYP1A1 gene and cancer susceptibility." Crit.Rev.Oncol.Hematol.,. (1993)
-
[Publications] Kawajiri,K.et al.: "Germ line polymorphisms of p53 and CYP1A1 genes involved in human lung cancer." Carcinogenesis,. (1993)
-
[Publications] 渡辺 潤子他: "図説臨床「癌」シリーズ 肺癌" メジカルビュー社, 172-175 (1992)