1992 Fiscal Year Annual Research Report
海洋流出原油の海水中および底泥中での微生物による分解浄化
Project/Area Number |
04202218
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
村上 昭彦 東京農工大学, 工学部, 教授 (20015043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 晶子 東京農工大学, 工学部, 助手 (80186725)
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Keywords | 原油 / 難分解成分 / 微生物分解 / 海洋 / 底質 |
Research Abstract |
本研究においては,東京湾の海水および底泥中での原油および難分解性成分であるアスファルテン分の微生物分解について実験的に検討し,海洋環境中での原油,特にアスファルテン分の微生物による分解浄化能力を定量的に評価した。 実験方法:原油としてマーバン原油を用い,予め100℃の湯浴で48時間処理して低沸点成分を除去した。原油またはカラムクロマトグラフィによって分画して得てアスファルテン分(メタノール溶離分)を実験に用いた。海水と底泥は,東京湾の5ヶ所の定点から採取して実験に供した。原油またはアスファルテン分を一定量加えたフラスコに海水あるいは栄養塩添加海水と底泥とを,一定の比率で加えて好気的または嫌気的に分解した。所定期間後,ベンゼンで抽出し脱水したのち蒸発乾固して減少量を測定した。底泥中のアスファルテン分解菌は,選択培地を用いた平板希釈法でコロニーを形成させて計数した。 実験結果:東京湾大井埠頭で採取した底泥5gに,栄養塩添加海水を100ml加え,原油0.5gを分解させたところ,30日間で飽和分は80%,芳香族分は53%分解された。天然海水の場合はこの半分以下であった。東京湾の各地点の底泥を,海水と1:1に混合し,好気または嫌気条件下でアスファルテン分を分解させたところ,60日間で好気条件下で52%,嫌気条件下で27%分解した。東京湾底質中の微生物による分解速度を推算したところ,好気条件下で0.07〜0.11mg・g^<-1>(乾泥)・day^<-1>であり,嫌気条件下では好気条件下の1/2〜1/3であった。また東京湾底質中のアスファルテン分解菌の密度は6.8×1.5×10^5cell・g^<-1>(乾泥)であり,底質中の好気的従属栄養細菌中の1〜3%であった。
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