1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04202243
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
平良 初男 琉球大学, 理学部, 教授 (70044998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚原 朗 琉球大学, 理学部, 助手 (00217100)
大森 保 琉球大学, 理学部, 助教授 (00045022)
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Keywords | 大気粉塵 / エアロゾル / Be-7 / 酸性雨 / 琉球列島 |
Research Abstract |
沖縄島における浮遊粉塵量は冬から晩春にかけて増加し、夏期には減少する傾向にある。その量的変化は0〜33.34ug/m^3で平均値が4.2ug/m^3であった。また、その量は風向、雨量、中国大陸での乾燥気候の変動などに影響されて変化している。大気粉塵中のCl/Na比は一般に海水値より小さく、粉塵輸送の過程で塩素が塩酸のような揮発性ミストになって減少し、いわゆる「塩素損失」として沖縄島に到達しているものと考えられる。 Be-7と大気圧との間には高い相関性があり、その量は高気圧優勢地点で高く、低気圧部では、一般に低い。しかし、その変化の態様は時間的に少々の遅れが観察され、Be-7の最高値が高気圧の移動の後方にそって変化していることがわかった。 硫酸イオンは海洋性起源と工業産業排出を中心とする非海洋性起源とからなっている。沖縄島では海塩の影響を受けて、平均で5.4ug/m^3を示し、札幌(2.7ug/m^3)などより高く約2倍の濃度を示している。また、[nss SO4]/[NO3]比は沖縄島で4.5であるのに対し、ロシヤ(Vladisostok)で1.7、札幌で1.59であり、沖縄島で大陸起源の硫酸ミストの影響がより高いことがわかる。これらのことは、将来大陸起源の酸性物質による酸性雨の影響を受けるとすれば琉球列島がより早く、また、強い影響を受けることを示唆している。 沖縄島に到達する黄砂は一般にSO4、Cl、NO3、ZnおよびCuにとぼしいことがわかった。また、1992年4月における黄砂の沖縄島通過量は大気厚が1Kmとし、幅2Km、風速が29Km/hrとすれば8時間で約145トンに達することがわかった。
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[Publications] 彭 金輝,他6名: "沖縄島における大気粉塵の化学的研究" 発表:日本地球化学会1991年年会講演要旨集(愛媛大学). 186 (1991)
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[Publications] 彭 金輝,他2名: "A geochemical study on aerosols observed on Okinawa Islands" 発表:日本地球化学会1992年年会講演要旨集(東京農工大学). 268 (1992)
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[Publications] "沖縄本島におけるBe-7、Pb-210、SO4、NO3およびC1" 発表:「人間-環境系」重点領域研究N1小領域全体会議で報告(鹿児島). (1992)
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[Publications] "琉球列島における酸性雨起源物質の由来に関する研究" 「人間-環境系」重点領域研究N1小領域」研究成果報告書. (1993)