1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04202250
|
Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
長岡 裕 武蔵工業大学, 工学部, 講師 (90207986)
|
Keywords | 水草 / 河川環境 / 物質輸送 / 乱れ強度 / 穂波現象 / 組織的渦 / スペクトル解析 / 植生密生度 |
Research Abstract |
本研究は栄養塩濃度が比較的高くかつ照射日光強度の大きい中小河川等でしばしばみられる水草のある河床をとりあげ,その水質生態学的環境について特性を解明し,もって河川の親水性を工学的手法によってに改善することを目的とした。 実験には,長さ8.5m,幅0.1m,高さ0.2mの透明アクリル製可変勾配水路を用いた。水草モデルとしては,塩化ビニール板に画鋲を接着し,針にシリコンチューブ(外径1.0mm,内径0.5mm,長さ10mm)を取り付けたものを使用し,水路幅中央における鉛直断面の流速測定を行った。実験条件としては,植生密生度(模擬水草の全表面積を植生域の底面積で除した値)を変化させた。流速測定はレーザードップラー流速計を用いた。水草の揺動と流速変動との関係について詳細に検討することを目的に,流速測定とビデオカメラによる水草の動きの撮影を同時に行った。ビデオ画像からは,水草の先端位置を読み取り揺動変位を測定した。 植生密生度が大きくなるにつれて,流速分布および乱れ強度分布形が植生域特有の形に近づくこと,乱れ強度分布が植生境界面付近をピークとしていることより,境界面付近で発生した乱れが周囲に拡散していることが実験結果より示された。流況の可視化により,植生内の遅い流体塊が表面流に流れ込む現象と表面流の速い流体塊が植生内流に流れ込む現象が,植生境界面付近で確認され,流体塊の移動にともない水草が揺動している様子が観察された。また,表面流には周期的な渦が存在していた。穂波現象植生密生度が大きいほど顕著に発生した。同時測定の結果より,流速の急激な上昇と水草先端の下降には相関関係のある可能性が示唆されてた。これらの変動のスペクトルを調ベた結果,低周波域(約0.5Hz)でピークの有る形となっており,揺動と流速変動との相互関係が低周波の渦によりもたらされていることがわかった。
|
Research Products
(1 results)