1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04203201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
千葉 忠俊 北海道大学, 工学部, 教授 (70001295)
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Keywords | 石炭 / 液化 / 反応機構 / アスファルテン / オイル留分 / 触媒 / 水素消費量 |
Research Abstract |
石炭液化反応操作とこれに続く蒸留操作を考慮して,液化反応器出口における液化反応率ばかりでなく,液化油留分の組成も予測できる液化後段反応機構に関するモデルを確立し,これに基づいて後段反応進行に対する触媒の寄与を定量的に評価することを目的として,つぎのような実験を行った。すなわち,内容積が55cm^3のマイクロオートクレーブにおいて,赤平炭の液化から得た中間生成物であるアスファルテンあるいはSRC-IIプロセス液化油を反応試料とし,反応温度が723K,ガス圧力が10.1MPa-H_2 or N_2の条件で液化反応実験を行い,得られたオイル成分を昇温ガスクロマトグラフィーによって分析し,芳香族およびナフテン環数の違いによって4種の沸点留分に分類し,これらとガスの収率の経時変化を反応時間が360minまでの範囲で測定した。さらに,触媒として市販Fe_2O_3とCo-Mo-Niを,溶媒としてテトラリンとナフタレンを用いて水素移動機構と触媒の効果を検討した。その結果、(1)上記の各オイル留分およびガス収率の経時変化は,これらがアスファルテンから並発的に生成するとした反応モデルによって説明できること,(2)Fe_2O_3触媒がアスファルテンの低分子反応全体を促進するのに対し,Co-Mo-Ni触媒はガスの生成を抑制すると同時に,もっとも重質なオイル留分を生成すること,(3)水素供与性溶剤であるテトラリンや触媒を用いない場合は,アスファルテンのプレアスファルテンやセミコークスへの高分子化反応も併発すること,および(4)アスファルテン1g当りの水素消費量はオイル留分の収率が低い範囲では収率はほぼ比例して増加するが,収率が高くなると水素はオイル留分のガス化にも消費される結果,水素消費量の増加割合が大きくなることが明らかになった。
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