1992 Fiscal Year Annual Research Report
弾性線維蛋白質会合体:多様な特性を有する新規生体機能材料としての展開
Project/Area Number |
04204016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐原 梢 九州大学, 理学部, 助手 (90080564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 賢治 福岡大学, 理学部, 教授 (30037296)
岡元 孝二 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (40122618)
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Keywords | 弾性線維蛋白質 / エラスチン / 液-液2相分離 / コアセルベーション / 細胞外マトリックス / 人工細胞 / 人工生体弾性線維 / 人工血管 |
Research Abstract |
【1】はじめにー研究目的及び研究費補助金の使途ー 細胞外マトリックスとしての弾性線維蛋白質エラスチンは、特異な弾性機能を始め、多様な機能を発揮している。本研究は、エラスチンの多様な生体機能の基礎となる分子機序を明かにし、新規生体機能材料としての展開を図ることを目的としている。今年度は研究計画最終年度に当たり、補助金は消耗品費に充当した。 【2】今年度中に得た研究成果並びに途中経過 (1)各種エラスチンモデルペプチドの合成と特性評価 生体由来α-エラスチン(エラスチンの熱蓚酸処理可溶化断片)と共に種々の測定に供する為に、エラスチン特有な繰り返しアミノ酸配列に基づく、各種ブロック共重合モデルポリペプチドを合成した。 (2)分子の自己集合組織化に基づく構造形成と生体機能発現ー温度依年性コアセルベーションの詳細ー 血管平滑筋間隙で進行するエラスチン前駆蛋白質の自己集合組織化に対応する水溶性エラスチンペプチドの温度依存性コアセルベーションに関し、示差走査熱量測定、静的及び動的光散乱測定等により詳細に検討した。 (3)弾性線維蛋白質の細胞遊走特性ーα-エラスチン及びヘキサペプチド配列ー α-エラスチン及びヘキサペプチド配列(APGVGV)に単球遊走活性が観察された。両者で特有な濃度依存性が観測されると共に、ヘキサペプチド配列順により遊走活性に顕著な変化が認められた。 【3】研究経過の反省と新たな研究の基礎としての意義ー弾性線維蛋白質集合体の特異性ー 多様な機能の基礎となる構造と物性を明かにすると共に、今後の研究の課題となる特異な現象を見い出した。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 岡元 孝二: "Elatin Peptides:Mechanisms of Self-Assembly and Specific Interaction with Metal Ions" Peptide Chemistrey 1991. 163-168 (1992)
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[Publications] 甲斐原 梢: "α-Elastin Coacervate as a Protein Liquid Membrane:Effect of pH on Transmembrane Potential Responses" Biopolymers. 32. 1173-1180 (1992)
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[Publications] 岡元 孝二: "エラスチンの自己集合組織化およびイオンとの特異的相互作用ーペンタペプチド繰り返し配列の役割ー" 磁気共鳴と医学. 3. 41-45 (1992)
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[Publications] 甲斐原 梢: "Study of Ion Transport across Amphoteric Ion-Exchange Membrane.VI.Multi-Ionic Potential,Membrane permeability,and Ion-Sieve Effect" Bull.Chem.Soc.Jpn.66. 77-82 (1992)
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[Publications] 上村 祐子: "Elastin and Elastin Peptides:Structure,Function and Biomaterials Applications" Proc.of International Symposium on Advanced Computing. 312-314 (1992)
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[Publications] 甲斐原 梢: "Rheoscopy法:光学顕微鏡下での高分子集合体の粘弾性と形態変化の同時計測に関する研究-弾性線維蛋白質の自己集合組織化過程への適用" 財団法人 島津科学技術振興財団研究報告. (1993)
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[Publications] 岡元 孝二: "Studies of Differential Scanning Calorimetry and Temperature Profile for Turbidity Formation on Self-Assembly of Elasstin Peptides" Peptide Chemistry 1992.
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[Publications] 岡元 孝二: "エラスチンペプチドを用いた動脈壁石灰化機構のin vitro解析" 磁気共鳴と医学. 4.
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[Publications] 岡元 孝二: "弾性線維-病態生理と疾患 大山俊郎編 I-3章 エラスチンの生化学、生物物理学" 共立出版, 14 (1992)
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[Publications] 甲斐原 梢: "New Functionality Matrials:Design,Preparation and Control(Tsuruta et al,Eds.),Structure,Machanism,and Function of Elastin Coacervate as Newly Developed Multi-Biofunctionality Materials" Elsevier Science Publisher B.V.,